研究課題/領域番号 |
23K14278
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45060:応用人類学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
江藤 太亮 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 特別研究員 (20929822)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 年齢差 / 概日リズム / 光 / メラトニン / 位相反応曲線 / 光の非視覚的作用 |
研究開始時の研究の概要 |
睡眠・覚醒リズム等を規定する生得的な約24時間周期のリズム(概日リズム)は、光が朝に曝露されると朝型化(位相前進)し、夜に曝露されると夜型化(位相後退)する。光が曝露されるタイミングと、概日リズム位相が変化する方向(前進/後退)・量(時間)の関係性は位相反応曲線(PRC: phase response curve)として表されるが、これまで確立されたPRCは主に若年成人を対象として調査されたものであり、子どもや高齢者など他の年齢集団においても当てはまるかどうかは不明である。本研究では、子ども・若年成人・高齢者それぞれにおいてPRCを調査し、年齢差があるかどうかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、子ども・若年成人・高齢者それぞれにおいて概日リズムの位相反応曲線(PRC: phase response curve)を調査し、年齢差があるかどうかを明らかにすることを目的としている。 PRCに年齢差があった場合に、その差が何によって生じたかについて検討するための変数として、メラノプシン由来の瞳孔反応(post-illumination pupil response: PIPR)を導入することを検討していた。メラノプシンは、概日リズムの光調節作用やメラトニン分泌の光抑制作用などの光の非視覚的作用に主立って寄与すると考えられている視物質で、網膜内の神経節細胞に発現する。PIPRを正確に測定することは、PRCの年齢差について検討する上で重要となるため、本年度は、PIPRを光に対する瞳孔反応を正確に測るための光学システム(Maxwellian-view system: MV光学系)の構築に取り組んだ。 また、一般的に概日リズム位相の指標となるメラトニンの分泌開始時刻(DLMO: dim light melatonin onset)を測定する際は、生体サンプル(本研究では唾液サンプル)の一定間隔、複数回の採取が必要であるが、被験者の属性によっては、例えば子どもにとっては負担が大きい。そこで、3点(夕方、夜、朝)のサンプリングでもDLMOが推定可能な方法論の構築を進めた。結果として、一定の精度でDLMOの推定が可能であることが示された。子どもにおけるDLMO推定に関する研究成果は査読付き論文として公開されている。 その他、関連研究の成果を国外、国内学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
若年成人におけるPRCを測定するための実験が、人的なリソース不足により実施できていない状況にある。一方で、PRCの年齢差の発生要因に言及する際に必要となる光に対する瞳孔反応PIPRを正確に測定するための光学系を構築し、また、子どものPRCを作成する際に有用となり得る、少ないサンプリング点で概日リズム位相を推定する方法を構築するなどした。PRC測定のための実験が実施できていない点で、当初の予定より遅れが見られるが、周辺技術の整備は進んでいるため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
若年成人におけるPRCを測定するための実験を実施する。その後、結果を解析し、先行研究で示されているPRCと一致するのかどうかを検証する。さらに、他の年齢集団(子どもや高齢者)においても同様のPRCが測定されるのかどうかを検証する。
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