研究課題/領域番号 |
23K14293
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
松田 光司 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 特任研究員 (40845228)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 前視蓋神経細胞サブタイプ / シングルセル遺伝子発現解析 / ゼブラフィッシュ |
研究開始時の研究の概要 |
動的な視覚情報オプティックフローの処理に重要な脳領域である前視蓋には、形態や機能が異なる様々な神経細胞が混在している。しかし、これらのサブタイプがどのような神経回路を形成することで適切な行動を生み出しているかについては、未解明の点が多く残されている。本研究では、これまでに開発してきた神経活動履歴に基づいた細胞標識とシングルセル遺伝子発現解析を組み合わせた独自技術を活用し、前視蓋神経細胞サブタイプを区別可能な分子マーカーを同定する。さらに、これらの分子マーカーを用いて、各サブタイプを特異的に標識・機能操作することで、オプティックフロー情報処理を実現する前視蓋神経細胞サブタイプの機能の解明に迫る。
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研究実績の概要 |
我々動物は、受容した視覚情報に基づいて適切な行動を生み出している。動的な視覚情報であるオプティックフローは、前視蓋において情報処理され、眼球や体の適切な反応を生み出す。前視蓋には形態や機能が異なる様々な神経細胞が混在していることがわかっているが、これらの多様なサブタイプがどのような神経回路を形成することで、行動を適切に制御しているかについては、未解明の点が多く残されている。本研究では、これまでに開発してきた神経活動履歴に基づいた細胞標識とシングルセル遺伝子発現解析を組み合わせた独自技術を活用し、前視蓋神経細胞サブタイプを区別可能な分子マーカーを同定する。さらに、これらの分子マーカーを用いて、各サブタイプを特異的に標識・機能操作することで、オプティックフロー情報処理を実現する前視蓋神経細胞サブタイプの機能の解明に迫る。 これまでの研究により、転写因子tcf7l2が前視蓋で発現していることを明らかにしたが、サブタイプを区別できる解像度には至らなかった。本年度は、tcf7l2によって特徴付けられる前視蓋クラスターを再クラスタリングすることで、前視蓋神経細胞をさらなるクラスターに分けることができるかどうか、詳細なバイオインフォマティクス解析を行った。その結果、前視蓋クラスターをさらに7つのクラスターに分類することができた。次に、再クラスタリングによって得られた新たなクラスターに特徴的な候補遺伝子によって、実際に前視蓋神経細胞サブセットを標識可能かどうか検証した。各クラスターに特徴的な候補遺伝子について、HCR (Hybridization Chain Reaction) RNA-FISHを利用した遺伝子発現領域の解析を実施した結果、前視蓋神経細胞サブタイプを標識可能な複数の遺伝子の特定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、前視蓋マーカー遺伝子として明らかにしていたtcf7l2を手がかりとし、前視蓋神経細胞サブタイプを標識可能な複数の遺伝子の特定に成功した。また、候補遺伝子についてはゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)を利用し、複数の新規Gal4系統の樹立に成功している。さらに、樹立した各Gal4系統とカルシウムセンサーGCaMP6sレポーター系統Tg(UAS:GCaMP6s)を交配して得られた仔魚を用い、8種類の単眼性・両眼性オプティックフローからなる視覚刺激を提示し、2光子顕微鏡を用いたカルシウムイメージングを行っている。これらの状況を踏まえ、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムイメージングにより、各Gal4系統により標識された前視蓋神経細胞サブタイプのオプティックフロー反応性を解析する。また、各前視蓋神経細胞サブタイプを特異的に機能操作することで、オプティックフロー依存的な行動である眼球運動・遊泳運動に与える影響を検証する。
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