研究課題/領域番号 |
23K14319
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松本 拓也 金沢大学, 薬学系, 助教 (40800214)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 超原子価ヨウ素化合物 / 超原子価ヨウ素 |
研究開始時の研究の概要 |
三価超原子価ヨウ素官能基(ヨーダニル基)は強電子求引性官能基であり、結合した炭素原子は正に強く分極し高反応性を示す。ヨーダニル基がsp2混成炭素原子に結合したビニルヨーダンのα位に、更に電子供与性基であるシリル基が結合したシリルビニルヨーダン、もしくは電子求引性基であるヨーダニル基がもう一つ結合したビスヨーダンは、特異な分極形態を有するが、反応特性はこれまで未解明であった。本研究では、申請者が独自に見出した位置・立体・官能基選択的なヨーダン類の新規合成法の確立と、得られたこれらのヨーダン類に対する、求核剤・求電子剤等との反応を多面的に検討し多置換アルケン類の効率的合成法へと展開する。
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研究実績の概要 |
結合の分極による電荷の偏りは化学結合の生成/切断に関わり、合成化学の根幹をなす重要な現象の一つである。それゆえに、炭素原子上に極端に強い分極を発生させる官能基や(例えばそれらの組み合わせによる)特異な分極形態を有する構造は、その物性を使用した新規材料の創生や、反応特性を利用した新規反応の開発に繋がりうるため、有機化学者の興味を引いてやまない。三価の超原子価ヨウ素基(ヨーダニル基)は、Hammettの置換基定数σp値が1.37に達し、一般的に強い電子求引基とされているニトロ基の0.81を大きく上回る超電子求引性置換基である。例えば、ヨーダニル基がsp2混成炭素原子に結合したビニルヨーダンはsp2混成炭素原子上において、求核剤による付加脱離反応・SN1反応・SN2反応等の様々な機構を経たヨーダニル基の置換反応が報告されている。それゆえビニルヨーダンは、ビニルカチオン等価体とみなすことが可能である。 このようにヨーダニル基が一つ結合しカチオン等価とみなされる炭素原子上に、例えば更に電子供与性基を導入してアニオンの性質を付与した化合物(カチオン等価部位+アニオン等価部位)、もしくは電子求引性基を導入して更に追加でカチオンとしての性質を付与した化合物(ジカチオン等価体)は、単純なカチオン等価体とみなされるヨーダン類とは異なる反応特性を示すことが期待される。 本年度は、代表者らが見出したヨーダニル基が同一sp2混成炭素原子に結合したビニルヨーダン(ビスヨーダン)について、各置換基(主にエチレン母骨格に結合したアリール基およびヨードニオ基の芳香環部)の構造一般性、およびその反応特性の解明を行った。その結果、各置換基がビスヨーダンの生成に与える影響の解明、ならびに二つのヨーダニル基を位置選択的に求核剤により置換することに成功した。本年度は、本成果を基に3件の学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、ヨーダニル基が同一sp2混成炭素原子に結合したビニルヨーダン(ビスヨーダン)について、各置換基(主にエチレン母骨格に結合したアリール基およびヨードニオ基の芳香環部)の構造一般性、およびその反応特性の解明を行った。構造一般性の解明検証では、母骨格に結合するアリール基上の置換基を電子的もしくはその結合位置を変えた場合、幅広い原料基質種類由来のビスヨーダンが生成することがわかった。ヨードニオ基の芳香環部においても、フェニル基に限らずいくつかの構造が許容されることがわかった。反応特性の解明検証では、異なる求核剤を用いて二つのヨードニオ基を位置選択的かつ段階的に置換することに成功した。これらの検証に関して学会発表を3件行った。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では初年度に予備的な結果が出たビスヨーダンの求核剤によるヨーダニル基の置換反応の検証に主に注力し、適用可能な求核剤種の拡充に向けた条件探索を行う。
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