研究課題/領域番号 |
23K14320
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤田 光 金沢大学, 薬学系, 助教 (40782850)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 低極性場誘導光ラベル化 / 蛍光色素 / トリアルキルアンモニオアミジル基 |
研究開始時の研究の概要 |
光ラベル化は、光反応性基の光照射による活性化を介して短寿命活性種を発生させ、空間的に近接したタンパク質などの標的分子との間に共有結合を形成してラベル (蛍光色素やタグ) を付与する技術であり、代表的な応用例としてphotoaffinity labelingやproximity labelingが挙げられる。本研究では、低極性場中かつ光照射下の両条件を満たす場合にのみ活性種を生じる「低極性場誘導光ラベル化」という新しい反応コンセプトを追求する。本コンセプトを実現させる新規光反応性分子を開発することで、高効率的な光ラベル化を行う基盤技術を確立させる。
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研究実績の概要 |
光ラベル化は、光反応性基の光照射による活性化を介して短寿命活性種を発生させ、空間的に近接したタンパク質などの標的分子との間に共有結合を形成してラベル (蛍光色素やタグ) を付与する技術である。しかし、標的分子の近傍で選択的に活性種を発生させることは依然として困難であり、解決方策の開発が求められている。 本研究では、低極性場中かつ可視光照射下でのみ短寿命活性種を生じて標的と共有結合を形成する「低極性場誘導光ラベル化」という新しい反応コンセプトの提唱を目的として検討を行う。バルク水中では不活性である一方、タンパク質表面のような低極性場においてのみ光活性化が進行すれば、高効率的な光ラベル化反応が実施可能になると考えられる。光活性化に際しては、紫外光よりも生体透過性や官能基許容性に優れる可視光を利用する。本コンセプトを実現させる新規光反応性分子を開発し、高効率的な光ラベル化を行う基盤技術の確立に取り組む。 今年度は、1,8-ナフタルイミド骨格を有する蛍光色素を用いて検討を進めた。反応に利用する光はより長波長であることが求められることから、独自に見出したトリアルキルアンモニオアミジル基を分子構造中に導入することとした。本置換基は強力なπ電子供与性を示すため、1,8-ナフタルイミド型蛍光色素のようなpush-pull型共役系に組み込むことで、吸収・蛍光の大きな長波長化が可能となる。さらに、光反応に関する検討、及び蛍光色素の物性改善に関する検討も進展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トリアルキルアンモニオアミジル基のアンモニウム部位として、キヌクリジニウム及び1-アザノルボルナニウム構造が優れていることが分かった。これらの置換基を導入した基礎となる1,8-ナフタルイミド型蛍光色素に関しては、その合成法やX線結晶構造、光学特性の詳細を学会発表し、さらに一連の研究成果をまとめてプレプリントサーバーにおいて公開した。さらに、光反応を実施するために合成した蛍光色素に関して、期待通り溶媒極性に応答する光反応が進行することが確認された。また、1,8-ナフタルイミド型蛍光色素に水溶性置換基を付与することにより、水への溶解性を高めることにも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に研究が進展していることから、今後も計画に従って検討を継続する。ナフタルイミド以外の蛍光色素の利用や、光ラベル化反応の詳細解明、複雑な分子のラベル化への応用性の検証などを実施する。
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