研究課題/領域番号 |
23K14331
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉岡 広大 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員 (50878402)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | プロドラッグ / 人工金属酵素 / メタセシス / PROTAC / コレステロール合成 / SQLE / コレステロール合成酵素 / タンパク質安定性 / 組織特異性 |
研究開始時の研究の概要 |
コレステロール合成の律速酵素はその阻害剤によって、安定化をうけ、量が増えるという現象が知られている。これは、長期使用による薬効低下を引き起こす一因である。本研究ではこういった標的に対するタンパク質分解誘導剤を合成し、そのコレステロール低下薬としての可能性を評価する。また、コレステロール低下薬は肝臓への選択性が副作用回避に重要である。肝臓特異的な標識化によってタンパク質分解誘導剤を選択的に作用させることができるか検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では組織特異的なタンパク質(コレステロール合成酵素)の分解誘導の達成を目指している。不活性なタンパク質分解誘導剤(プロドラッグ)を生体に投与し、狙った組織上で活性体(ドラッグ)へと変換すれば、目的が達成できると考える。この達成のために、1. 狙った組織上で薬剤合成を行う触媒の開発、2. タンパク質分解誘導剤のプロドラッグの開発 3. 1と2を用いたタンパク質分解の組織特異性の確認が必要である。 2023年度は、1のタンパク質分解誘導剤の合成に用いる金属触媒の改良に取り組んだ。この金属触媒はプロドラッグを活性なドラッグへと変換することが可能なものである。しかしながら、既存の金属触媒は生体内で不安定かつ反応効率が低いという課題があった。そこで、生体内の安定性・反応性の指標として、金属触媒の構造変換を行った。血液中での安定性・反応性を指標として、様々な基質の触媒による変換効率を評価した。その結果、金属触媒の活性中心であるルテニウムに配位する原子を塩素からヨウ素に置換することで大幅な安定性・反応性の向上が見られることがわかった。さらに、改良したヨウ素の触媒では塩素の触媒では難しかった、異なる分子を連結する反応を触媒できることも明らかとなり、触媒で合成可能な薬剤の幅が広がったといえる。狙った組織に触媒を集積させる技術はすでに開発済みであり、改良した触媒と合わせることで、本研究の最終目的達成に役立つと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基盤となる重要な実験材料である金属触媒を準備することに成功した。残すはプロドラッグの開発と生体での検証であるが、残された研究期間で十分に実施可能であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
標的とするタンパク質の分解誘導剤は新規であり、前例がない。一方、阻害剤は既知であるため、E3リガーゼのリガンドと連結し、PROTAC化する。阻害剤に導入するリンカーの位置やその種類、連結するE3リガーゼのリガンドの検討が必要である。活性を有する分解誘導剤が合成できた後に、プロドラッグの合成を行う。阻害剤の結晶構造を参考にすると、標的との親和性を下げたプロドラッグ化が可能である。
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