研究課題/領域番号 |
23K14337
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
守岩 友紀子 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (80881515)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | マイクロ粒子 / フェリハイドライト / 比色センサー / 分子認識 / 単一粒子測定 / シグナル増幅 |
研究開始時の研究の概要 |
患者のベットザイドで薬物血中濃度を測定するオンサイトTDM が提唱されるようになってきた.比色センサーは オンサイトTDM に適しているが,薬物のような低分子化合物を分子認識し,シグナル変換および増幅機能可能なセンサー素子を設計することは難しい.本申請課題では,センサー素子を集積させた多機能性粒子を創成する.フェリハイドライトを被覆した粒子に可視光光線を照射すると,オキシダーゼ様活性が触媒され,西洋わさびペルオキシダーゼの基質から青色色素生成される.さらに,色素が粒子に吸着し,粒子自体が呈色する.薬物が粒子に吸着すると反応が阻害されるため,粒子の色調から薬物濃度を測定することができる.
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研究実績の概要 |
シリカマイクロビーズに非結晶性含水酸化鉄であるフェリハイドライト(Fh)を被覆した(Fhビーズ)。Fhビーズに過酸化水素を添加すると、フェントン反応によりヒドロキシラジカルの生成が触媒され、DA64(西洋わさびペルオキシダーゼの基質)から青色色素(BG)生成された。さらに、BGはFhとの錯体形成によりFhビーズ表面に吸着するため、粒子自体の呈色がみられた。Fhの触媒活性を調査した結果、pH5.5条件下において、西洋わさびペルオキシダーゼと同等の触媒活性を有することが明らかになった。 オンサイトでの血中薬物濃度モニタリング(TDM)を実現させるためには、血清中の薬物の測定を可能にする必要がある。しかしながら、血清に多く含まれる夾雑タンパク質がFhビーズへ非特異吸着するため、Fhビーズの触媒活性が減弱してしまった。そのため、血清タンパク質の非特異吸着の抑制を試みた。Fhビーズに水溶性水溶性の両性高分子(ジアリルアミン塩酸塩/マレイン酸共重合体:DAM)をイオン性相互作用でFhシリカ粒子に纏わりつかせた後に架橋することで、網目構造を有する高分子を修飾させることができた。DAMは水溶性かつ両性のため、疎水性相互作用と静電相互作用による非特異吸着を抑制でき、実際にコントロール血清の吸着抑制を確認した。DAMの網目構造の大きさは架橋剤の鎖長に依存しており、血清中の生体高分子は網目構造を通過できず、BG のみ通過(Fhに接近)できる分子ふるい効果も兼ね備えている。 TDM対象薬物であるイマチニブがFhビーズに吸着することを見出した。DAMを修飾させたFhビーズへのイマチニブの吸着によるフェントン反応を阻害するか確認した。イマチニブ溶液をインキュベーションした後、過酸化水素とDA64溶液を添加したところ、イマチニブの濃度に依存したビーズの呈色強度の減弱が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までに、Fhビーズのフェントン反応によりが過酸化水素からヒドロキシラジカルの生成が触媒され、DA64からBGが生成し、錯体形成によりFhビーズ表面に吸着するメカニズムを明らかにすることができた。さらに、Fhビーズの触媒活性についても評価することができた。 さらに、血清夾雑成分の非特異吸着の抑制を実現するために、網目構造を有する高分子化合物を修飾した。高分子化合物を修飾させているにもかかわらず、フェントン反応により粒子が呈色しなければならない。ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)およびポリエチレンイミン(PEI)を用いた場合、多量のアミノ基がFh表面の鉄 (Ⅲ)に配位し、フェントン反応が抑制され、粒子が呈色しなかった。一方、DAMはこの課題を克服できるということを明らかにすることができた。DAMを修飾したFhビーズでは、コントロール血清の吸着が抑制され、フェントン反応によりビーズを青く呈色することに成功した。 DAMを修飾したFhビーズ表面への吸着が確認された、TDM対象薬物であるイマチニブを用いて、イマチニブの吸着によりFhのフェントン反応が阻害されるか調査した。イマチニブはDAMの網目構造を通過することができ、Fhビーズ表面に吸着し、フェントン反応が抑制されたため、ビーズの呈色強度が減弱した。このことから、申請書で提案した比色センサーのメカニズムは上手く機能し、低分子薬物の比色定量が可能であることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度では、1粒子自体がオキシダーゼ様活性により呈色するFhビーズの触媒活性を調査し、作製したFhビーズを利用した薬物の比色センサーが機能することを証明できた。次年度ではこれまでの結果をもとに、血清中の薬物の測定に挑戦する。血清の薬物を測定する際の課題として、薬物のタンパク結合が挙げられる。タンパク結合率が高値な薬物は多く、結合状態であるとFhビーズ表面への薬物吸着が阻害されてしまう。そのため、簡単な前処理を行い、薬物とタンパク質の結合を弱める必要がある。タンパク質変性沈殿法やトリプシンによるタンパク消化を検討しており、薬物添加血清に変性溶媒を添加するのみの簡便な前処理で薬物を血清タンパク質から遊離せせることを試みる。その後、遊離した薬物ををFhビーズ表面に吸着させることができるか確認する。薬物添加血清において、本法がうまく機能することが示すことができた後、血清中の薬物の定量バリデーションを行い、本法のオンサイトTDMへの有用性を示す。 また、Fhビーズ表面に吸着する薬物をスクリーニングし、本法に適用可能な薬物種の拡大を図る。
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