研究課題/領域番号 |
23K14349
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
新田 昂大 順天堂大学, 薬学部, 助教 (30847976)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 炎症性細胞死 / ガラビオシルセラミド / 糖尿病性腎症 / マクロファージ / パイロトーシス / 1型糖尿病性腎症 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病性腎症の発症・増悪には、炎症反応や細胞死といった現象が密接に関与していることが分かっている。したがって、炎症や細胞死を抑えることができれば治療が可能となったり治療薬の開発につながる。しかし、どのように炎症反応や細胞死が引き起こされるのかが分かっていないため、まず詳細に解析を行う必要があり、かつこれらを引き起こす物質は何なのかを明らかにする必要がある。これまでの研究により、炎症反応や細胞死を悪化させる物質の一つを明らかにしており、本研究ではこの物質によって炎症反応や細胞死が悪化するメカニズム解明に取り組む。本研究によって、新たな治療や治療薬開発につながる新たな知見を提示できると考える。
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研究実績の概要 |
スフィンゴ糖脂質は、生体膜構成成分のひとつとして、細胞膜上でタンパク質と相互作用することで生体内の恒常性を維持している。その一方で、スフィンゴ糖脂質は血液中、尿中、髄液中など体液成分においてもその存在が確認されている。しかし、体液中に存在する糖脂質がどのような役割を持っているのか、病態との関連についてはあまり多くのことは分かっていない。我々は、糖尿病性腎症病態において、特異的に増加してくるスフィンゴ糖脂質を発見し、その病態生理学的役割として炎症性細胞死の関与している可能性を見出していた。そこで、本研究ではスフィンゴ糖脂質がどのように炎症性細胞死誘導・促進を引き起こすのか、その分子メカニズムの解明を目的とした。 本年度は、TLR4 ligandであるLPSとスフィンゴ糖脂質による免疫細胞の刺激後、TRIF経路の活性化について評価した。TLR4-TRIF経路の活性化に伴いIfnβ遺伝子ならびにIFNβタンパク質は発現が誘導されてくることから、IFNβを指標に活性化をみたところ、遺伝子・タンパク質ともに誘導が確認されたことから、スフィンゴ糖脂質がTLR4-TRIF経路の活性化に関与していることが確認された。また、これまでマウスマクロファージ細胞であるRAW細胞でスフィンゴ糖脂質による炎症性細胞死の評価を行ってきたが、今回ヒトのマクロファージ細胞THP-1によっても同様の結果が得られたことから、この生理活性はマウスだけにとどまらない生理活性であることが確認された。これらの結果から、スフィンゴ糖脂質は少なくともLPSプライミングの増強作用があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属変更に伴う実験の一時中断によって、当初の計画よりはほんの少しだけ送れている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、所属が変更したことによって変わった実験環境や細胞・試薬類について本年度はなるべく整えてきたが、まだ不足していることから今後は早急にそこを整備するとともに、炎症性細胞死の分子メカニズム解明に重要な2つのタンパク質、GSDMDとCaspase-4/11の活性について評価していく。
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