研究課題/領域番号 |
23K14351
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
安田 柊 北里大学, 薬学部, 助教 (90824483)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 過酸化脂質 / 細胞死 / GPx4 / ビオチン化 / プロテオミクス / リピドミクス |
研究開始時の研究の概要 |
GPx4は生体膜に生じた過酸化脂質を還元する酵素であり、GPx4が欠損すると酸化脂質依存的な新規の細胞死であるリポキシトーシスが生じる。しかし、リポキシトーシス誘導時にどのような脂質酸化が生じて細胞死を誘導するのか、その分子メカニズムは明らかとなっていない。本研究では申請者がこれまでに開発してきた幅広い脂質を網羅的に測定する、ノンターゲットリピドミクス解析法を、リポキシトーシスを誘導した細胞に適用し、細胞のどの部分に存在するどのような酸化脂質によってリポキシトーシスが生じるのか、またどのようなタンパク質がこれらの認識や制御に関わるのかを明らかにするため研究を行う。
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研究実績の概要 |
GPx4は生体膜に生じた過酸化脂質を還元する酵素である。申請者の所属する研究室では細胞内のGPx4を欠損すると酸化脂質依存的な新規の細胞死であるリポキシトーシスが生じることを見出している。本研究は、リポキシトーシス誘導時にどのような脂質代謝変動が生じるか、リポキシトーシスの制御にどの細胞内局在のGPx4が重要か、そしてどのような分子メカニズムでリポキシトーシスが生じるかを明らかにすることを目指している。本研究において、まずどのような分子がどのようなオルガネラで重要な働きを示すか探索するため、ターゲット分子の近傍のタンパク質をビオチン化することが出来るTurboIDという酵素を用いたシステムを用いて、GPx4の近傍タンパク質の探索を行っている。その探索のための細胞質型GPx4とTurboIDの融合タンパク質を発現させる細胞の樹立に成功した。樹立した細胞にビオチンを添加し、ビオチン化タンパク質が検出されたことから、確かに目的の細胞が樹立されたことが確かめられた。この細胞に、リポキシトーシスと類似した脂質酸化依存的な細胞死であるフェロトーシスを誘導し、細胞死誘導時のGPx4近傍タンパク質をタイムコースを追って確認したところ、そのバリエーションに変化が見られた。この結果より、脂質酸化によってGPx4と相互作用するタンパク質が異なる可能性が初めて見出された。現在、当研究室で見出しているリポキシトーシス誘導剤も用いて、フェロトーシスのみならずリポキシトーシスを誘導した際のGPx4の近傍タンパク質解析も引き続き行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたように細胞質型GPx4とTurboIDの融合タンパク質を安定発現させて細胞の樹立に成功し、細胞死誘導の条件検討を終え、それらを用いた近傍タンパク質の解析が進行できている。また予定より早くその他のオルガネラに局在するGPx4との融合タンパク質発現細胞も順次樹立できており、分子メカニズムの探索という面においては大いに進展していると言える。しかし、ノンターゲットリピドミクスによる細胞死に重要な脂質の探索については特に大きな進展がなかったことから、区分(2)であるおおむね順調に進展している、とした。
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今後の研究の推進方策 |
分子メカニズムの解明のために、引き続きGPx4の近傍タンパク質の探索を進め、具体的な候補因子が見つかり次第、ノックダウン細胞を樹立し細胞死に対する作用を確認していく。 リポキシトーシスにおいて重要なオルガネラの解明については、各オルガネラに局在するGPx4発現細胞を用いるとともに、上記の近傍タンパク質の探索より得られた候補因子の局在解析と合わせて、明らかにすることを目指す。 リポキシトーシスにおける重要な脂質の探索は、候補分子の作用する時間やオルガネラを明らかにし次第、そのタイムコースやオルガネラ画分におけるノンターゲットリピドミクスを行い、相関関係を探索していく予定である。
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