研究課題/領域番号 |
23K14354
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
沖川 沙佑美 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (60883303)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 骨髄性白血病 / マウス / 神経システム / 骨髄微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性骨髄性白血病(CML)は、造血幹細胞に生じた遺伝子異常に起因する血液がんである。本研究は骨髄に存在する神経支配に着目し、造血システムに神経システムを追加した骨髄微小環境制御モデルを新たに提案する。この新モデルをCML病態解明に適用し、造血と神経システムの体系的な解析を実施することで、脳-骨髄相関から生み出されるCML病態の解明に挑む。
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研究実績の概要 |
骨髄性白血病は、造血幹細胞の遺伝子異常が原因とされる造血幹細胞腫瘍であり、がん化した白血病細胞が骨髄微小環境内で増殖する。これまでの研究は、骨髄内に存在する細胞種のみに留まった限定的な研究であり、組織間コミュニケーションを基盤とした解析に至っていないため、骨髄性白血病病態の全貌は未だ不明点が多い。本研究は脳と骨髄との組織間ネットワークに焦点を当て、「神経システムがどのように骨髄微小環境を制御し、白血病病態を生み出すのか」を明らかにする事を目的とする。白血病細胞が増殖する骨髄内について、これまで議論されてきた造血系システムだけでなく、神経系システムも加えて議論することで、骨髄性白血病が生み出される詳細なメカニズムに迫る。 本年度は、骨髄性白血病モデルマウスを作成し、末梢神経系および中枢神経系の組織学的解析を実施した。末梢神経系に関しては、骨髄に投射する神経系(TH (tyrosine hydroxylase)陽性神経細胞とCGRP(calcitonin gene-related peptide)陽性神経細胞)に焦点を当てた。骨髄サンプルの脱灰プロセスの最適化、イメージングの条件や可視化した神経線維のintensity解析を最適化した。骨髄へ投射する神経の軸索/軸索末端を可視化し、これらを数値化することで、骨髄内の神経支配を評価する手法の確立に成功した。一方中枢神経系に関しては、作成した白血病マウスにおける脳活動を組織学的解析によりモニタリングし、脳領野ごとに解析・評価することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は骨髄性白血病モデルマウスを作成し、骨髄内神経投射および中枢神経系の組織学的解析に成功した。加えて骨髄を標的としたマイクロインジェクションに関しても条件検討を進めた。初年度の目標を達成できたので、本年度は順調に研究が進捗したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により、骨髄性白血病マウスにおける骨髄内の末梢神経支配および脳の神経活動を評価することに成功した。組織学的解析によりこれらを評価したが、再現性の確認およびより詳細なサブ解析は今後実施予定である。加えて神経活動をモニタリングできるマウスラインを新たに導入し、空間情報を保った脳活動イメージングを実施する。またこれらの脳領域や骨髄に投射する神経系の活動を人工的に操作した際、白血病病態がどのように変化するのかを明らかにすることで本研究課題に挑む。
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