研究課題/領域番号 |
23K14366
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
澤本 篤志 松山大学, 薬学部, 准教授 (70760388)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 脂肪組織 / 線維化 / 糖尿病 / ドラッグリポジショニング |
研究開始時の研究の概要 |
脂肪組織の線維化は,全身のインスリン抵抗性を惹起することから,2型糖尿病の本質的かつ新規な治療標的として有望である。しかし,脂肪組織の“抗線維化薬”は未だ存在しない。先行研究において,脂肪前駆細胞の細胞外マトリックス産生を顕著に抑制し,脂肪組織において抗線維化作用を発揮する既存医薬品(DRCD-1)を見出した。本研究では,DRCD-1の標的分子・作用機序・抗糖尿病効果を細胞・個体レベルで解明し,画期的な新規2型糖尿病治療薬の創生を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究では,DRCD-1(鎮咳薬チペピジン:TP)の標的分子の探索,作用機序の解明および抗糖尿病効果の評価について,細胞・個体レベルで評価した.3T3-L1脂肪前駆細胞を用いて,TPが脂肪細胞分化を抑制する機構について詳細な解析を行った.その結果,TPはLKB1/AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)シグナル伝達を活性化することで,脂肪細胞分化抑制作用を発揮することが明らかとなった.さらに,TPは,糖尿病治療薬であるメトホルミン(MF)の1/100の濃度で同等のAMPK活性化作用を示した.次に,高脂肪食を11週間摂餌させることで誘発される食餌誘発性肥満(DIO)モデルマウスに対するTPの効果を評価した.その結果,TPの投与(0~11週間)により,DIOマウスの耐糖能異常が改善した.さらに,TPの投与によりDIOマウスの精巣上体脂肪組織(eWAT)で生じる線維化,およびこれに追随する脂肪肝(肝機能障害)が改善した.eWATの生化学的解析結果から,TPの投与により線維化関連遺伝子発現が低下すること,AMPKが活性化されることが示された.また,これらのTPの効果は全てMFと同等であった.これらの結果から,TPは強力なAMPK活性化薬として作用し,脂肪組織の抗線維化作用を介して抗糖尿病効果を示す可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
TPの標的分子の探索および作用機序の検討が当初の計画よりもスムーズに進行したため,動物実験を当初の予定よりも前倒しで実行することができた.すでに,2024年度後半に予定していた「TP投与により発現変動する脂肪組織遺伝子群の網羅的解析」に着手している.
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今後の研究の推進方策 |
網羅的遺伝子発現解析の結果を元に,データ解析ソフトやバイオインフォマティクスツールを駆使して,TPの脂肪組織抗線維化作用の鍵分子の探索を進める.さらに,膵臓β細胞に対するTPの作用についても検討する.
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