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妊娠中の医薬品使用と児の精神運動発達との関連について

研究課題

研究課題/領域番号 23K14378
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分47060:医療薬学関連
研究機関東北大学

研究代表者

野田 あおい  東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (40835625)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード妊娠 / コホート調査 / 医薬品使用状況 / 先天形態異常 / 精神運動発達 / 妊婦 / 医薬品 / 発達障害
研究開始時の研究の概要

精神運動発達遅滞や自閉スペクトラム症(以下発達障害)と診断される児の数は世界的にも増加傾向にある。発達障害は、遺伝要因および環境要因が複雑に組み合わさって発症に関与していると考えられているが、妊娠中の医薬品への曝露も児の発達に関連する可能性が指摘されている。妊娠中の医薬品使用については知見が少なく、漠然とした懸念から、本来必要のない挙児希望の断念・中絶・妊娠中の薬物治療の中断等につながっている。本研究では、妊娠中の医薬品使用による児の発達障害発症を規定するプロファイルを明らかにする。

研究実績の概要

妊娠中の医薬品使用の安全性に関する情報は世界的にも少ない。そこで、出生三世代ゲノムコホートにおける妊娠前および妊娠中の女性の医薬品使用状況を明らかにすることとした。2013年2017年までに東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査に参加した妊婦23,406人に対し、妊娠12週頃に母親登録時調査票を、26週頃に母親妊娠中期用調査票を配布した。医薬品の使用時期を「妊娠1年前から妊娠判明まで」、「妊娠判明から母親登録時調査票回答時点まで」、および「前回調査票回答から母親中期用調査票回答時点まで」の3つに分類した。回答者が自由記載した医療用医薬品は、一般名に紐づけてコード化した上で集計を行った。本研究対象者において、約半数の妊婦が妊娠前、妊娠中に医薬品を使用していることが明らかになった。また、妊娠中の使用による安全性のエビデンスが十分とは言えない医療用医薬品の使用も認められた。
次に、妊娠中の感冒に使用されることがある麻黄含有漢方薬の妊娠初期の使用と、精神運動発達にも関連のある児の先天形態異常と関連について検討した。妊娠中の使用の安全性が確立している感冒薬の一つであるアセトアミノフェンを妊娠初期に使用した妊婦とその出生児を対照とし、妊娠初期における麻黄含有漢方薬の使用と出生児の大奇形(MCM)との関連を、多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。解析対象者22,167人のうち、妊娠初期にアセトアミノフェンを使用した妊婦は698人、麻黄含有漢方薬は419人であった。出生児のうち、カルテにMCMの記載があった児はそれぞれ27人(3.87%)、16人(3.82%)であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果,妊娠初期にアセトアミノフェンが処方された妊婦の出生児に比べ、妊娠初期に麻黄含有漢方薬を使用した妊婦の出生児との間で、MCMに有意な差は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

三世代コホート調査において収集した調査票(母親登録時調査票・母親妊娠中期用調査票)に自由記載された医薬品情報を電子媒体へ入力し、医療用医薬品について複数の薬剤師にて精査をおこないデータクレンジングを行った。そのデータを用いて、妊娠前、妊娠中の医薬品の使用状況をまとめ、論文を投稿中である。また感冒に使用される麻黄含有漢方薬の使用と児の先天形態異常の関連についての論文も公開された。さらに、児の調査票で収集している「子供の行動チェックリスト(Child Behavior Check List: CBCL)」および「東京自閉行動尺度(Tokyo Autistic Behavior Scale: TABS) 」を用いて、抗生剤の使用と児の精神運動発達の関連についての検討を開始している。

今後の研究の推進方策

三世代コホート調査において収集した調査票に自由記載された医薬品情報について、引き続き電子化およびデータの精査を進める。
また、三世代コホート調査において、医療機関より収集したカルテ情報および児の調査票を用いて、児の精神運動発達障害に関する環境要因の検討を進める。引き続きCBCL、TABSをアウトカムとした解析を進め、抗生剤の使用と児の精神運動発達の関連について検討し、論文化を目指す。また、乳幼児発達検査スクリーニング質問紙(The Ages and Stages Questionnaires, Third Edition (ASQ-3) )をアウトカムとする解析も行い、複数の尺度に基づいた検討を行う。
さらに神経運動発達障害が認められる児をケース群、認められない児をコントロール群として、ゲノムワイド関連解析(Genome-Wide Association Study:(GWAS))を実施し、精神運動発達障害に影響を与える遺伝的要因の抽出を進めていく予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Risk of Major Congenital Malformations Associated with the Use of Japanese Traditional (Kampo) Medicine Containing Ephedra During the First Trimester of Pregnancy2024

    • 著者名/発表者名
      Aoi Noda, Taku Obara, Fumiko Matsuzaki, Satoko Suzuki, Ryutaro Arita, Minoru Ohsawa, Ryo Obara, Kei Morishita, Fumihiko Ueno, Genki Shinoda, Masatsugu Orui, Keiko Murakami, Mami Ishikuro, Akiko Kikuchi, Shin Takayama, Tadashi Ishii, Hiroshi Kawame, Shigeo Kure, Shinichi Kuriyama
    • 雑誌名

      Drugs - Real World Outcomes

      巻: - 号: 2 ページ: 263-272

    • DOI

      10.1007/s40801-023-00411-0

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 妊婦の抗菌薬使用と児の問題行動との関連の検討:東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査2024

    • 著者名/発表者名
      阿部美有、小原拓、野田あおい、森下啓、小原竜、高橋一平、大瀬戸恒志、篠田元気、大類真嗣、村上慶子、石黒真美、栗山進一
    • 学会等名
      第34回日本疫学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 妊婦初期における麻黄含有漢方薬の使用と出生児の先天形態異常の関連:東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査2023

    • 著者名/発表者名
      野田あおい、小原拓、松崎芙実子、小原竜、森下啓、上野史彦、篠田元気、大類真嗣、村上慶子、石黒真美、栗山進一
    • 学会等名
      第33回日本医療薬学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Association between maternal antibiotics use during pregnancy and children's behavioral problems from the TMM BirThree Cohort Study2023

    • 著者名/発表者名
      Miyu Abe, Taku Obara, Aoi Noda, Kei Morishita, Ryo Obara, Genki Shinoda, Masatsugu Orui, Keiko Murakami, Mami Ishikuro, Shinichi Kuriyama
    • 学会等名
      International Society of Pharmacovigilance 2023 Annual Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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