研究課題/領域番号 |
23K14388
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
堀 英生 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (90903526)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | メタボリックシンドローム / 酸化コレステロール / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / 動脈硬化 / iPS細胞 / 血管デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
メタボリックシンドローム(MetS)は、血管内皮機能を障害し心血管疾患などの動脈硬化性疾患を引き起こすことが知られている。本来、MetSによる血管障害の機序の解明や治療法の開発には、生体機能を高度に維持したヒト由来の血管組織が必要となるが、入手は極めて困難である。そのためMetSモデル動物から摘出された血管組織が汎用されているのが現状である。そこで本研究では、この問題を解決するため生体模倣システムを利用しin vitroでMetSの病態を再現し、MetSが引き起す血管内皮機能障害および動脈硬化発症・進展の機序の解明並びに治療法の開発に利用可能な血管障害モデルを創製することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度は、ヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞を用いてメタボリックシンドロームの各条件下、高血圧、高血糖及び高コレステロール血症における炎症性ストレスマーカーの発現について検討を行った。 【高血圧】2層制の血管デバイスの一層を用い潅流条件下でヒトiPS細胞由来血管内皮細胞を培養したが、細胞が剥離するなどの問題が認められた。今後も継続してコーティング剤、流速などの検討を実施する必要がある。【高血糖条件】続いて静置下における高血糖条件における検討を行った。高血糖状態として30mMD-グルコース培地溶液条件下において活性酸素種(ROS)産生について評価したが、初代血管内皮細胞で報告されているROSの産生増加は認められなかった。そのため肥満などで分泌が促進され、インスリン抵抗性を惹起するとされる腫瘍壊死因子であるTNF-αを用いて各検討項目にてついて検証を行った。結果、10ng/mL及び100ng/mLを24時間添加した場合にヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞においてVehicle群に比べ有意な細胞生存率の低下が認められた。また、10ng/mL TNF-α24時間添加する条件においてROS産生について検討を行ったところ、Vehicle群に比べROSの産生増加が認められ、その産生機序の一つであるNADPHオキシダーゼの遺伝子の発現についても増加が認められた。さらに、血管の拡張をもたらす一酸化窒素を産生する内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の低下が認められ、動脈硬化初期段階で生じるROS産生による血管内皮障害の一端を再現することができた。【高コレステロール血症】次に高コレステロール血症条件を模倣するために過酸化脂質である7-ケトコレステロールを用いてヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞に対する細胞障害性について検討を行った。その結果、濃度依存的に細胞生存率の低下が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培地を潅流した条件における血管デバイスでのヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞の培養には成功していないものの、インスリン抵抗性を惹起する原因の一つであるTNF-αを用いてヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞の炎症性ストレス反応(ROS産生の増加および代表的なROS産生増加機序の一つであるNADPHオキシダーゼの遺伝子発現増加、eNOS遺伝子の発現の低下等)つまり、動脈硬化の発症初期段階でおきる血管内皮細胞障害の一部を再現することができた。また、高コレステロール血症条件を再現するための7‐ケトコレステロールの添加実験により細胞生存率の低下が確認でき、今後使用する7‐ケトコレステロールの最適濃度を決定することができた。そのため、メタボリックシンドロームを模倣するための条件を決定する前段階まで到達したと考えられる。 引き続き培地潅流時血管デバイスにおけるヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞の培養条件を検討する必要があるものの、各条件下においてヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞に炎症性ストレス反応が認められたためメタボリックシンドローム条件におけるヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞および血管平滑筋細胞との共培養に向け、本研究が着実に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
【血管デイバイにおける血管内皮細胞の培養と血管平滑筋細胞との共培養条件の検討】 来年度は、引き続き、高血圧条件下つまり、血管デバイスを用いた潅流条件下における血管内皮細胞および血管平滑筋との共培養条件(細胞外マトリックス、培地、流速、培養時間等)の検討を行う。一方、高血圧条件の再現が難しい場合も想定して、セルカルチャーインサートを用いたヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞と血管平滑筋細胞の共培養条件を検討する。上記の様に静置下であるがヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞に対する細胞壊死因子であるTNF-αを用いた実験において一定の結果が認められたのを踏まえ、血管内皮細胞単独と血管平滑筋との共培養で比較し、血管内皮細胞におけるROS産生とその機序および細胞接着因子の発現と機能について検討を行い、その結果に違いがあるか、また、血管内皮障害に加え、血管平滑筋との共培養時において血管平滑筋に炎症性変化が生じるかについても評価する。 【メタボリックシンドローム条件における血管内皮細胞および血管平滑筋細胞との共培養時の炎症性変化の検討】 昨年度、高コレステロール条件下7-ケトコレステロールを用いた検証を行い上記の様にヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞の細胞生存率の低下が認められたため、引き続きROS産生およびその機序について評価を行う。また、TNF-αと同様に細胞接着因子の発現と機能につて評価する。その後、メタボリックシンドロームにおける血管の環境条件を再現するため、TNF-αと7-ケトコレステロールを同時添加し、ヒトiPS細胞由来動脈様血管内皮細胞および血管平滑筋共培養時における炎症性の反応についての検討を行う。
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