配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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研究実績の概要 |
医療用および一般用医薬品を過量服薬したことにより救急搬送された患者の血中濃度測定および体内動態解析を実施し、これら薬物の体内動態情報を整備した。その中で、アシクロビル過量投与によりアシクロビル脳症を発症した複数の患者の体内動態を解析したところ、その代謝物である9-carboxymethoxymethylguanineの血中濃度と臨床症状の推移に相関を認めた。この結果から、9-carboxymethoxymethylguanineは診断に難渋するアシクロビル脳症とヘルペス脳炎を鑑別するバイオマーカーとして有用であることが推察された。加えて、PBPKモデルによる薬物血中濃度予測の精度向上を目的として、薬物の臓器へのばく露量評価に必要なパラメータの1つである肝組織-血液間の薬物分配係数(Kp,h)に着目した。分配係数Pから計算するPoulinとTheilのKp,h算出式と、酸解離定数毎に予測式を選別するRodgersとRowlandのKp,h算出式を用い、14種類の化学物質について、動物実験により求められたKp,h値とそれぞれの予測式から算出したKp,h値を検証した。動物実験から得られたKp,h値とPoulin とTheilのKp,h値(r=0.53, p=0.050)は、RodgersとRowlandのKp,h値(r=0.46, p=0.096)に比べ有意な相関を示した。以上のことから、少ない物性値からより実測値に近いKp,h値が算出できるPoulinとTheil式を本PBPKモデルに採用することが合理的であると推察された。これらの知見は、薬物動態学的観点から急性薬物中毒の治療を合理化に実施するうえで重要な基盤情報となる。
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