研究課題/領域番号 |
23K14395
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 直人 日本大学, 薬学部, 講師 (60756005)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | イオン液体 / 経鼻投与 / DDS / ナノミセル / COX-2選択生NSAIDs / 新規微量噴霧器 / ミセル / 製剤 |
研究開始時の研究の概要 |
鼻から脳への直接経路により薬物を送達する経鼻製剤には,鼻粘膜透過性の付与が必須である.申請者はこれまでに,イオン液体(IL)の適用による血液脳関門(BBB)非透過性薬物の鼻粘膜透過性の促進と脳移行性の向上を明らかにした.しかしながら,ILは粘稠性であり,経鼻デバイスによる射出性は困難である.本研究では,ILを両親媒性物質として利用して形成するIL介在ミセルに,脳内で抗炎症効果を示すBBB非透過性薬物を封入し,経鼻デバイスによる射出性と脳移行性の優れる脳標的経鼻製剤を開発する.脳標的経鼻製剤に最適なILの利用形態を見出すことで,IL技術を基盤とした脳標的経鼻製剤の基幹技術になることが期待される.
|
研究実績の概要 |
2023年度には,両親媒性イオン液体(IL)とCOX-Ⅱ選択性ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)封入IL介在ミセルの調製ならびにキャラクタリゼーションを実施した.既報の方法で得られたコリン-脂肪酸からなる両親媒性ILについて,系中水分量や赤外分光法により分子状態を詳細に評価することで,短時間で調製することが可能となった.また,電気伝導度から計測した臨界ミセル濃度付近となるように両親媒性ILを水に添加したところ,約10 nmのミセル形成が認められ,メロキシカムやロキソプロフェンなどの水に対する溶解性の改善が目視により確認された.このことより,両親媒性ILからなる水系ミセル中にメロキシカムやロキソプロフェンが封入されることが示唆された.さらに,本IL,co-surfactantのspan20およびエタノールをミリスチン酸イソプロピルに添加した結果,澄明な溶液が得られたため,油相中においてもミセルが形成されることが示唆された. 当初計画の他に,実験動物であるマウスへの経鼻投与する新たな投与法として,微量噴霧機MicroFPSを投与デバイスに用いた方法について検討した.MicroFPSを用いて経鼻投与した結果,従来のマイクロピペットを用いた方法より,短時間で効率的に鼻腔内に薬液を投与することに成功した.また,イヌリン(分子量5,000)の経鼻投与による嗅球・脳移行性を評価したところ,マイクロピペット法と同等であった.しかしながら,10mPa・s以上の粘性を有する溶液の噴霧は困難であった.このことから,粘性の低い薬物溶液の経鼻投与方法として有用であることが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には,両親媒性ILとCOX-Ⅱ選択性NSAIDs封入IL介在ミセルの調製ならびにキャラクタリゼーションの実施を計画していた.上記概要の通り,それぞれの調製を達成しており,新たに調製したNSAIDs含有IL介在ミセルに関するキャラクタリゼーションも進展中である.このことから,本研究課題は概ね順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は,形成の認められたIL介在ミセルについて,デバイスからの噴霧特性などの製剤特性,気道上皮モデルであるCalu-3細胞を用いた鼻粘膜透過性促進効果ならびにマウス経鼻投与後における脳移行性について検討を進める.さらに,得られた結果については学会および学術雑誌にて随時発表する.
|