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肝線維症における肝星細胞のカルシウムシグナル制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K14414
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分47060:医療薬学関連
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

近藤 るびい  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (60962511)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード肝星細胞 / カルシウムシグナル / 線維化 / イオンチャネル / 肝硬変 / カルシウム
研究開始時の研究の概要

肝線維化とは、細胞外基質の過剰な産生と蓄積による瘢痕化で生じる病態である。肝星細胞は肝障害により活性化され、細胞外基質の主要な産生源となるため、肝線維化の治療標的として近年注目されている。肝星細胞の活性化や増殖、細胞外基質産生や線維化には、細胞内カルシウム濃度の上昇が必要であるが、肝星細胞におけるカルシウムシグナル制御機構の解明は進んでいない。本研究では、肝星細胞に発現するカルシウム透過性イオンチャネルと膜電位を制御するカリウムチャネルの機能連関に着目して、肝星細胞におけるカルシウムシグナル経路の分子実体を同定し、肝線維化機構の解明を目指す。

研究実績の概要

肝線維化(肝リモデリング)とは、ウイルスや肥満などによる慢性的な炎症に起因し、細胞外基質の異常な産生と蓄積による瘢痕化を特徴とする病態である。肝線維化の進展度が肝疾患患者の生命予後を最も強く規定することから肝線維化に対する治療薬が期待されている。本研究課題では細胞外基質の主要な産生源となる肝星細胞に着目し、肝星細胞のカルシウムシグナル制御機構を明らかにすることで肝線維化進展機序を解明することを目的とした。
今年度はヒト不死化肝星細胞株LX-2およびマウスより単離した肝星細胞を用いてカルシウムチャネルの発現をリアルタイムPCR法およびウェスタンブロット法、免疫細胞染色法により解析した。その結果、カルシウム遊離活性化カルシウム(CRAC)チャネルの分子実体であるOrai/STIMが肝星細胞に発現していた。またLX-2細胞においてストア作動性カルシウム流入が起こり、この細胞内カルシウム濃度上昇はCRACチャネル阻害薬のBTP-2およびOrai1選択的阻害薬のCM4620により著明に阻害されることを明らかにした。また、これらの阻害薬は肝星細胞の増殖を抑制し、肝星細胞活性化マーカーであるα-smooth muscle actinやⅠ型コラーゲンの発現を低下させた。さらにOrai/STIM複合体と相互作用する分子の活性化による発現上昇をRNA-Seq解析により見出した。これらの知見から肝星細胞のカルシウムシグナルと線維化の中核を担うカルシウム透過性チャネルの分子実体はOrai/STIM複合体である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はLX2細胞およびマウス肝星細胞においてCRACチャネルの分子実体であるOrai/STIMが高発現していることを明らかにした。またLX2細胞においてストア作動性カルシウム流入が起こり、この細胞内カルシウム濃度上昇はCRACチャネルの阻害薬で阻害されること、CRACチャネル阻害薬が活性化マーカーの上昇と細胞増殖を抑制することを見出した。

今後の研究の推進方策

今年度はin vitroの解析により、活性化型肝星細胞にOrai/STIMからなるCRACチャネルが機能発現しており、これらを阻害することで活性化マーカーの発現と細胞増殖が有意に低下することを明らかにした。来年度は胆管結紮モデル、四塩化炭素モデル、MASHモデルなど病因の異なる肝線維化モデルマウスを作製し、CRACチャネル阻害薬の効果をin vivoで検討する。線維化の評価にはHE染色、シリウスレッド染色を用いる。またRNA-Seq解析によりCRACチャネルの下流シグナル分子を探索する。さらに、CRACチャネルの下流分子として知られているカルシニューリン―NFAT経路については共焦点蛍光顕微鏡を用いて細胞内局在や核内移行を明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (26件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (23件)

  • [雑誌論文] Up-regulated expression of two-pore domain K+ channels, KCNK1 and KCNK2, is involved in the proliferation and migration of pulmonary arterial smooth muscle cells in pulmonary arterial hypertension2024

    • 著者名/発表者名
      Shima Natsumi、Yamamura Aya、Fujiwara Moe、Amano Taiki、Matsumoto Kazuyuki、Sekine Taiga、Okano Haruka、Kondo Rubii、Suzuki Yoshiaki、Yamamura Hisao
    • 雑誌名

      Frontiers in Cardiovascular Medicine

      巻: 11 ページ: 1343804-1343804

    • DOI

      10.3389/fcvm.2024.1343804

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Caveolin-1 forms a complex with P2X7 receptor and tunes P2X7-mediated ATP signaling in mouse bone marrow-derived macrophages2024

    • 著者名/発表者名
      Sawai Yuuki、Suzuki Yoshiaki、Asagiri Masataka、Hida Shigeaki、Kondo Rubii、Zamponi Gerald W.、Giles Wayne R.、Imaizumi Yuji、Yamamura Hisao
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology-Cell Physiology

      巻: 326 号: 1 ページ: C125-C142

    • DOI

      10.1152/ajpcell.00303.2023

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Pimaric acid reduces vasoconstriction via BKCa channel activation and VDCC inhibition in rat pulmonary arterial smooth muscles2023

    • 著者名/発表者名
      Ishida Masashi、Yamamura Aya、Fujiwara Moe、Amano Taiki、Ota Mina、Hikawa Yukari、Kondo Rubii、Suzuki Yoshiaki、Imaizumi Yuji、Yamamura Hisao
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 153 号: 2 ページ: 84-88

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2023.08.001

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 左心性疾患に伴う肺高血圧症モデルマウスにおけるカルシウムシグナルの亢進2024

    • 著者名/発表者名
      松本 和幸、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 彩、山村 寿男
    • 学会等名
      第144回日本薬理学会近畿部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒト肝星LX-2細胞におけるCLC-3クロライドチャネルの機能解析2024

    • 著者名/発表者名
      森 鈴菜、近藤 るびい、川田 成紀、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 肺高血圧症細胞におけるニコチン性アセチルコリン受容体の発現変化2024

    • 著者名/発表者名
      中浜 光哉、山村 彩、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] カベオリン 1 は P2X7 受容体の活性調節を介して炎症性マクロファージの ATP 依存性シグナルを制御する2023

    • 著者名/発表者名
      澤井 優輝、鈴木 良明、近藤 るびい、今泉 祐治、山村 寿男
    • 学会等名
      第17回トランスポーター研究会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 肺動脈性肺高血圧症におけるClC3クロライドチャネル/トランスポーターの発現機能2023

    • 著者名/発表者名
      天野 泰樹、山村 彩、藤原 萌園、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      第17回トランスポーター研究会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Ca2+ 活性化 Cl- チャネルTMEM16Aに対するpaxillineの阻害効果2023

    • 著者名/発表者名
      関根 大雅、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      第17回トランスポーター研究会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラット大動脈平滑筋細胞におけるジャンクトフィリン2によるCa2+遊離活性化Ca2+チャネル制御機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      小井手 司、鈴木 良明、倉田 朋、近藤 るびい、今泉 祐治、山村 寿男
    • 学会等名
      第17回トランスポーター研究会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 血管平滑筋細胞におけるジャンクトフィリン2によるCa2+遊離活性化Ca2+チャネル制御機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      小井手 司、鈴木 良明、倉田 朋、近藤 るびい、今泉 祐治、山村 寿男
    • 学会等名
      第134回日本薬理学会近畿部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 肝星細胞におけるTREK1チャネルとT型Ca2+チャネルの機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      川田 成紀、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      東海地区 薬学系電気生理学研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 肺高血圧症における容積感受性ClC3チャネルと機械感受性Piezo1チャネル2023

    • 著者名/発表者名
      天野 泰樹、山村 彩、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      東海地区 薬学系電気生理学研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒト肺動脈平滑筋細胞におけるニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRα5)の発現機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      中浜 光哉、山村 彩、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      生理研研究会2023「炎症・免疫系と心血管系の相互作用から切り拓く循環生理機能の解析」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 肺高血圧症における容積感受性クロライドチャネルClC3の発現機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      天野 泰樹、山村 彩、藤原 萌園、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      生理研研究会2023「炎症・免疫系と心血管系の相互作用から切り拓く循環生理機能の解析」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 光遺伝学的手法を用いた血管リモデリング形成機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      倉田 朋、鈴木 良明、近藤 るびい、今泉 祐治、山村 寿男
    • 学会等名
      生理研研究会2023「炎症・免疫系と心血管系の相互作用から切り拓く循環生理機能の解析」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] フィンゴリモドは炎症を抑制し、肺高血圧症モデル動物の病態を改善する2023

    • 著者名/発表者名
      藤原 萌園 、山村 彩、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      生理研研究会2023「炎症・免疫系と心血管系の相互作用から切り拓く循環生理機能の解析」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒト肺動脈平滑筋細胞に発現する ニコチン性アセチルコリン受容体の生理機能2023

    • 著者名/発表者名
      中浜 光哉、山村 彩、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] CaMKK2阻害薬の探索を目指した新規スクリーニングアッセイ系の構築2023

    • 著者名/発表者名
      岡田 一希、道上 七帆、鈴木 良明、近藤 るびい、山村 寿男
    • 学会等名
      日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] カベオリン1は、炎症性マクロファージのP2X7受容体依存性ATPシグナルを調節する。2023

    • 著者名/発表者名
      澤井 優輝、鈴木 良明、近藤 るびい、今泉 祐治、山村 寿男
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] マウス肝星細胞の形質転換に伴うT型Ca2+チャネルの発現増加2023

    • 著者名/発表者名
      川田 成紀、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 肺動脈性肺高血圧症におけるクロライドチャネルClC3の病態生理学的役割の解明2023

    • 著者名/発表者名
      天野 泰樹、山村 彩、藤原 萌園、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Ca2+ 活性化 Cl- チャネルTMEM16Aに対するpaxillineの阻害効果2023

    • 著者名/発表者名
      関根 大雅、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 光遺伝学を用いた血管平滑筋における興奮転写連関の解明2023

    • 著者名/発表者名
      小井手 司、鈴木良明、近藤 るびい、山村 寿男
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] メラトニンはラット松果体の電位依存性KV4.2チャネルを阻害する2023

    • 著者名/発表者名
      葛原 響、三島 寛貴、安藤 駿佑、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] フィンゴリモドは肺動脈性肺高血圧症における炎症を抑制し、肺血管リモデリングを改善する2023

    • 著者名/発表者名
      藤原 萌園 、山村 彩、近藤 るびい、鈴木 良明、山村 寿男
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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