研究課題/領域番号 |
23K14430
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吹野 恵子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00910176)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 嚥下運動 / 咀嚼運動 / 口蓋咽頭筋 |
研究開始時の研究の概要 |
嚥下機能の維持のためには、嚥下運動を担う軟口蓋および咽頭の筋群の正常な形態についての理解が必要である。しかし、これらはいまだ多くの形態学的不明瞭な点がある。申請者らはこれまで、軟口蓋・咽頭の筋群のひとつである口蓋咽頭筋が広く走行し、横方向の筋束をもつことを明らかにしてきた。これらの研究成果から、口蓋咽頭筋がほかの周囲の筋との位置関係に応じて、多様な機能を持つのではないかと考えた。本研究の目的は、軟口蓋・咽頭筋群の形態、特に口蓋咽頭筋に注目し、筋線維束の空間的立体的配置の解明を目指す。将来的には、最先端画像検査法を用いて嚥下機能向上のために必要な軟口蓋および咽頭の解剖学的基盤の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は口蓋咽頭筋の甲状軟骨への付着様式を肉眼解剖学的、組織学的に解析し、Anatomical Science Internationalという雑誌に受理された。その一方で、口蓋咽頭筋の分布、起始部は軟口蓋、停止部は咽頭壁に焦点をあて、肉眼解剖学的、組織学的解析を行っている。軟口蓋では、口蓋帆挙筋の上下面に口蓋咽頭筋が起始することは知られているが、最近の研究ではそれよりさらに複雑な層構造をもつことがわかってきており、さらなる詳細な解析が必要であると考え、軟口蓋の層構造の解析を行った。東京医科歯科大学に供された解剖学実習体を使用し、肉眼解剖学的解析・マイクロCTを用いた画像解析・組織学的解析を組み合わせ、多角的に解析を行った。肉眼解剖学的解析により、口蓋帆張筋のつくる口蓋腱膜の下面から起始する口蓋咽頭筋の筋束は、口蓋咽頭弓の前方部を下降していた。一方、口蓋腱膜の上面で、口蓋帆張筋の上面に起始する筋束は口蓋帆挙筋と直行するように口蓋咽頭弓の後面から咽頭後面にかけて広がりながら下降していた。口蓋帆挙筋の下面から起始する筋束は、同筋と平行に走行してから咽頭壁の後面を上方に広がっていた。さらに、その起始の外側からは、上咽頭収縮筋の最上部の筋束が軟口蓋に停止しており、口蓋咽頭筋と上咽頭収縮筋の軟口蓋における境界が明瞭には見られなかった。組織学的な解析により、軟口蓋の筋群は互いの筋束どうしが入り混じっていることが明らかになった。口蓋咽頭筋は軟口蓋の起始する部位によって咽頭壁の様々な領域に広く分布していた。これらの筋が多様な方向に収縮することで、軟口蓋やそれに連続する咽頭壁の位置・形態を変化させ、鼻咽腔閉鎖をひきおこすと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
咽頭、特に口蓋咽頭筋の食道の下部の筋束の付着を肉眼解剖学的解析、組織学的解析を行った。また、現在は口蓋咽頭筋のもうひとつの付着部位である軟口蓋においても、口蓋咽頭筋と他の筋(口蓋舌筋、口蓋垂筋、口蓋帆挙筋、口蓋腱膜)との関連を3次元的に肉眼解剖学的解析、組織学的解析を行っている。それらをもとに、3次元立体構築モデルを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、リンタン酸溶液浸漬後のMicro CT画像で3次元立体構築を行う予定である。しかし、リンタン酸浸漬後のMicro CTの撮影に時間がかかっており、筋の染め分けが難しい可能性がある。その際には、組織学的に連続切片を作成し、その像をトレースすることによって、3次元構築を行う予定である。
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