研究課題/領域番号 |
23K14450
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中井 琢 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90971193)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 線維芽細胞 / シングルセル / エピゲノム / エリスロポエチン / 腎間質線維芽細胞 / 慢性腎臓病 / シングルセル解析 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病の合併症である腎線維化および腎性貧血発症の原因となっている腎間質線維芽細胞の不均一性の実態を明らかにし、各細胞分画におけるEPO産生制御機構および筋線維芽細胞への形質転換の分子機序を解明する。不均一性を規定するエピゲノム制御機構を解明することにより、腎間質線維芽細胞の各分画の機能や役割を見出すとともに、慢性腎臓病の病態理解を深め、革新的な治療標的の発見につなげる。
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研究実績の概要 |
腎臓の間質には、線維芽細胞や週皮細胞などの多様な細胞が存在しており、実質組織の構造維持だけでなく、多彩な機能を有している。なかでも、腎皮質の尿細管間質線維芽細胞は、赤血球造血因子エリスロポエチン(EPO)を産生するが、申請者の研究からEPO産生能の点において尿細管間質線維芽細胞の多様性が見出されている。腎障害に伴って、尿細管間質線維芽細胞はEPO産生を停止し、筋線維芽細胞へ形質転換するが、病態環境において細胞集団によって異なる性質を示すことが明らかとなっている。 初年度は、多様な腎間質線維芽細胞集団の機能的な分類を目的に、トランスクリプトーム解析およびエピゲノム解析を実施した。腎間質線維芽細胞は、細胞数が少ないことやその脆弱性から、網羅的な解析が難しいが、少数の細胞からのトランスクリプトーム解析に成功した。遺伝子発現様式の解析から、EPO産生性線維芽細胞の特異的な性状および新規マーカーを明らかにすることができた。さらに、腎間質線維芽細胞集団の多様性を決定する分子機構を解明することを目的に、マウスから単離した単一細胞レベルおよび少数細胞でのエピゲノム解析を行なったものの、細胞収量が少なく、解析可能なデータを取得することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、多様な腎間質線維芽細胞集団の機能的な分類を目的に、トランスクリプトーム解析およびエピゲノム解析を実施した。腎間質線維芽細胞は、細胞数が少ないことやその脆弱性から、網羅的な解析が難しいが、少数の細胞からのトランスクリプトーム解析に成功した。遺伝子発現様式の解析から、EPO産生性線維芽細胞の特異的な性状および新規マーカーを明らかにすることができた。一方で、エピゲノム解析も実施したものの、細胞の収量や脆弱性から、解析に十分な品質のデータを取得することができてなかった。これより、当初予定していた進捗は得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
トランスクリプトームデータの解析から、腎間質線維芽細胞の新規機能や腎臓病の分子病態に関与する遺伝子の探索に取り組む。候補遺伝子に対するin situハイブリダイゼーションや免疫染色を行い、生体内での発現を確認する。また、単離した腎間質線維芽細胞をex vivoで培養し、標的遺伝子に対する活性化剤あるいは阻害剤を添加する実験を行い、その機能を解明していく。また、エピゲノム解析については、細胞の単離方法や単離後の解析前処理などの条件検討を行い、引き続き解析を続けていく。
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