研究課題/領域番号 |
23K14455
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
仁田 暁大 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80883850)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | Hippo経路 / YAP/TAZ |
研究開始時の研究の概要 |
Hippo経路は、多様な生命現象を制御する細胞内シグナル伝達経路であり重要性は明白であるが、その動作原理については未だ不明な点も多い。Hippo経路は転写共役因子であるYAPとTAZの機能調節によりその分子機能を示すと考えられているが、これら二つの転写共役因子が、どのようにHippo経路の多彩な生命機能を担うかは未解明である。本研究では、内在性のYAPまたはTAZにHAタグをノックインしたマウスを作出し、生理的な条件下でのYAPとTAZの分子機能および機能差を解明する。これにより、Hippo経路の動作原理を理解し、近年注目されているYAPとTAZを標的とした医薬品開発の分子基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
Hippo経路は、個体発生・組織再生・がんの生物学など、多様な生命現象を制御する細胞内シグナル伝達経路であり、これまでの研究の歴史上、肝臓における機能が最も評価されてきた。遺伝子改変動物を用いた過去の研究により、生物の生老病死におけるHippo経路の重要性は明白になったが、その動作原理については未だ不明な点も多い。これは、過去の研究の問題点であった「過剰発現系」や「異なる抗体を用いた比較解析」が潜在的にもたらすアーチファクトが原因であると考えられる。そこで、本研究の目的は、Hippo経路の作動分子であるYAPまたはTAZにHAタグをノックインしたマウスを作出し、肝臓における生理的な条件下でのYAPとTAZの分子機能および機能差を明らかにすることで、これまで隠されていたHippo経路の動作原理を理解することである。 本年度では、YAPまたはTAZにHAタグをノックインしたES細胞を作製し、キメラマウスを作製した。さらに、マウスが安定的に実験に用いるまでの間、肝臓における機能評価を行うための実験系の確立を行った。本研究では、肝組織再生におけるYAPとTAZの役割を検証をすることを実施計画としていた。そのため、部分肝切除モデル用いることで、YAPまたはTAZの分子機能および機能差を評価する予定であった。しかし、マウスにおける部分肝切除モデルは実験手技的に非常に困難であるため、再現性のある結果を安定的に得ることが難しいと判断した。そこで、「肝組織再生」から「肝障害からの回復」に方針を修正した。その結果、マウス肝臓における虚血再灌流モデルの実施に成功し、再現性高く安定的な結果を得る実験系の確立が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、内在性のYAPまたはTAZにHAタグをノックインしたマウスを作出し、肝臓における生理的な条件下でのYAPとTAZの分子機能および機能差を明らかにすることで、これまで隠されていたHippo経路の動作原理を理解することが目的である。当該年度は、YAPまたはTAZにHAタグをノックインしたキメラマウスの作出および評価系の確立を予定していた。YAPまたはTAZにHAタグをノックインしたキメラマウスの作出については、予定通り実施している。一方で、申請時に実施計画であった「肝組織再生」におけるYAPとTAZの分子機能および機能差を評価することは、再現性高く結果を得ることが困難であった。そこで、当初の実施計画とは異なるが「肝再生」から「肝障害からの回復」に方針を修正した。そのため、予定したタイムラインより遅れが生じたが、肝臓における虚血再灌流モデルを採用することで「肝障害からの回復」の実験系を比較的早期に確立することに成功した。これにより、方針修正による遅れは概ね挽回できており、当該研究課題は順調に進展していると評価できるため。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度では、YAPまたはTAZにHAタグをノックインしたキメラマウスの作出および評価系の確立を予定していた。これらは、軽微な方針の修正を実施したものの概ね順調に進展している。次年度前半では、実施計画の通り、作製したノックインマウスを用いて肝細胞におけるChIP-seqやIP-MSの条件検討およびデータ取得を完了させる。さらに、次年度後半ではデータ解析を行うことで、YAPとTAZの共通項と非共通項を同定することで、肝障害からの回復におけるYAPとTAZの分子機能および機能差を評価する。
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