研究課題/領域番号 |
23K14459
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
江口 貴大 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 ジェロサイエンス研究センター, 研究員 (60845056)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 骨格筋 / 神経筋接合部 / Cabp7 / p25 / 筋萎縮 / サルコペニア |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋は我々の運動機能に必須の役割を果たし、筋力の著しい低下は生活の質(QOL)を低下させる一因となる。また、骨格筋の重篤な萎縮は筋力の低下に直結することから、筋量・筋力の維持メカニズムの解明は重要な課題である。近年、骨格筋の質量および筋力は多様な要因により制御されることが解明されているが、その制御メカニズムには未だ不明な点が多く残されている。本研究では、骨格筋の質量および筋力の制御因子を解明し、その知見を基盤とした筋萎縮・筋力低下への治療・診断技術の開発を推進する。
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研究実績の概要 |
骨格筋は主に筋管(筋線維)により構成され、呼吸や運動機能に必須の器官である。骨格筋の重篤な萎縮は筋力・運動機能の低下に繋がり、生活の質(QOL)を低下させる。筋萎縮は加齢、不動、癌などの慢性的な代謝性疾患を含む様々な要因により惹起されるが、どのような分子機構により惹き起こされるかについては不明な点が多い。そこで本研究では筋量・筋力を制御する機構の解明を目指した。 カルシウムイオンは筋量・筋力の制御因子の一つとして知られる。これまでカルシウムイオン結合因子であるCalcium-binding protein 7 (Cabp7)が骨格筋で発現することを見出していたが、骨格筋におけるCabp7の役割は不明であった。そこで、筋特異的にCabp7を欠損させたマウスを作製したところ、筋力および筋量が低下することを見出した。また、当該マウスにおいては神経筋接合部(Neuromuscular junction: NMJ)における加齢変容が促進されることが明らかとなった。さらに、当該マウスの骨格筋ではNMJ形成を負に制御するCyclin-dependent kinase 5 (Cdk5)の活性化因子であるp25の発現が亢進していることを見出し、Cdk5阻害ペプチド発現ベクターを当該マウスに投与することで、筋力、筋量、NMJ変性が改善することが見出された。それゆえ、本研究により、筋力・筋量を制御する新たな因子としてCabp7が同定され、筋量・筋力の制御機構に対する理解が促進された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、Cabp7を介した筋量・筋力の維持機構の一端を解明した。また、その下流でCdk5を介したシグナルが関与していることを示唆する結果を得た。さらに、筋量・筋力を制御する新規因子の探索を進め、予備的な検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は前年度に予備的に進めていた筋量・筋力の新規制御因子の探索を発展させるとともに、培養細胞・マウス個体レベルでの解析により、筋量・筋力の新規因子の同定、ならびにその制御機構を明らかにする。また、このような因子が明らかにされた場合、当該制御機構に基づく治療技術を検討し、筋量・筋力が低下するモデルマウス(加齢、癌、筋萎縮性側索硬化症や筋ジストロフィーなど)での治療介入が可能かどうか検討する。
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