研究課題/領域番号 |
23K14471
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高木 康司 富山大学, 学術研究部医学系, 病院助教 (20972491)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 膵癌 / KRAS / Pancreatic cancer |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は非常に予後が悪い悪性腫瘍です。殆どの膵癌ではKRASと呼ばれる遺伝子に変異が生じていますが、この遺伝子のどこに変異が生じるかによって、予後が大きく異なる可能性があることが報告されています。本研究では、一般的な予後の悪いタイプの膵癌(codon 12/13変異)と、稀な予後の良いとされる膵癌(codon 61変異)の性質を比較することで、膵癌の悪性をもたらす因子を解明し、治療に役立てることを目的としています。
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研究実績の概要 |
①当院にて施行された膵臓切除症例(過去10年分程度)について検索し、その中で浸潤性膵管癌である症例を抽出した。これらについて、手術標本の病理所見や切り出し図を確認し、腫瘍が十分含まれている検体であるか検討した。術前治療によって完全~或いはほぼ消失した症例については除外した。現在の所、100症例以上は検索可能と考えている。 ②①にて抽出した症例について手術標本を確認し、診断に相違ないか検討した。その中で、問題のない症例について、最も腫瘍含有量の高いスライドを選択し、そのパラフィン包埋ブロックから未染標本を作製し、抽出キットを用いて腫瘍部の組織を選択的に抽出した。変異の検出については、過去文献等も参考に、対象となるKRASのcodon12、codon13、およびcodon61を評価可能なprimerを作製し、これらを用いて変異の有無を検討した。 ③現在までに20数例を解析した結果、codon12変異15例(G12Vが9例、G12Dが4例、G12Rが2例)、codon61変異が2例(Q61Hが2例)、codon12、codon13、codon61いずれの変異も認められないものが4例であった。これらは概ね既報告と同程度の頻度であるが、対象数はまだ少なく、解析数を増やして更に検討する予定である。 ④抽出と併せ、その病理組織化学的特徴(腫瘍径、深達度、周囲組織への進展具合、脈管侵襲、リンパ節転移の程度等)を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
変異確認の手法の確立が遅れたためである。具体的には、当初は特定のcodon変異を検知するキットを用いて行おうと複数のキットについて検討したが、費用や応用性等の問題から断念した。続いて、Sanger法を用いて変異を検索することとし、まず未染標本全体から遺伝子を抽出して実験を行ったが、検出出来なかった。原因として腫瘍含有量が少ないことが考えられたため、選択した領域から抽出出来るキットを検討し、これに変更して実験を行った所、ようやく遺伝子変異が確認出来た。
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今後の研究の推進方策 |
①上記のような経緯で遅れてしまったが、変異検出のプロセスは概ね確立されたと考えられ、次年度以降解析を進める。 ②各codon変異症例について、その病理学的特徴についてまとめ、どのような傾向がみられるか検討する。 ③KRAS関連遺伝子の発現について、免疫組織化学的検討などを行う。
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