研究課題/領域番号 |
23K14490
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
森坪 麻友子 久留米大学, 医学部, 助教 (00829624)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 腫瘍微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ / CD163 / IBA-1 / 膠芽腫 |
研究開始時の研究の概要 |
いまだ根治困難な膠芽腫の治療抵抗性の一因として腫瘍微小環境が領域ごとに異なる不均一性が注目されている。 本研究では、膠芽腫の不均一性を多重免疫組織化学による網羅的観察によって可視化、数値化し、背景の分子遺伝学的異常の裏付けを得る。予後との関係から不均一性すなわち治療抵抗性に寄与する分子を同定する。 この分子は日常の病理診断において即時応用が可能であり、膠芽腫の治療抵抗性の予測のみならず、新規治療法開発の基礎基盤となることが期待される。
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研究実績の概要 |
申請者らは膠芽腫における、腫瘍中心部および辺縁部の腫瘍微小環境における差異に着目した。申請者らが過去に行った研究と同一の検体・手法を用いて腫瘍中心部および辺縁部の腫瘍微小環境を比較、同一の評価項目を用いて臨床病理学的な検討を行った。評価項目は血管(非腫瘍血管、微小血管増生)、血栓形成、T細胞(CD3,CD4,CD8染色)、腫瘍関連マクロファージ(CD163・IBA-1染色)、IBA-1陽性腫瘍関連マクロファージの形態(activated, phagocytic, Ramified)である。CD8陽性細胞とCD163陽性細胞、IBA-1陽性細胞とCD34陽性内皮細胞を有する血管の数は相関していた。CD163とIBA-1の数および形態に相関はなかった。CD163陽性細胞がIBA-1陽性細胞より多いことはCD4陽性細胞数が少なく、血栓形成が多く、全生存率で独立した予後良好因子であった(HR 0.17, p=0.011)。腫瘍中心部は血栓形成およびactivetedもしくはphagocyticが多かった。 以上より腫瘍関連マクロファージの分化がCD4陽性細胞の遊走能や腫瘍性血管の増生を介し腫瘍の増殖や浸潤に関与している可能性が示唆された。マクロファージ/ミクログリアは低酸素、炎症によって形態が変化するため、腫瘍中心部と辺縁部で腫瘍微小環境が異なるという仮説が支持された。一方で腫瘍関連マクロファージと周囲微小環境構成細胞の分布や種類について直接的な関係性は検討できていない。引き続き多重免疫染色(CODEX)を用いて網羅的に検討する予定である。 以上の内容は第113回日本病理学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫多重組織染色の基盤となる、単一の抗体を用いた実験は概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
患者由来検体を用いた、免疫染色および形態学的検討の結果からリンパ球および血管内皮細胞が腫瘍関連マクロファージと相互作用を来している可能性が考えられた。これらを軸に候補となるたんぱくを検討し条件設定にはいる予定である。
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