研究課題/領域番号 |
23K14508
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
野口 あや 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 研究員 (10836688)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | カルパイン / ユビキチン / 脳神経系形成 / 大脳形成 / 眼球形成 |
研究開始時の研究の概要 |
CAPN15の変異は先天性の眼球障害や小頭症を引き起こすが、発生期脳神経系におけるCAPN15 の基質タンパク質は同定されておらず、病態メカニズムは明らかでない。我々はこれまでに、培養細胞系でCAPN15基質を網羅的かつ特異性高く同定する手法を確立している。本研究では、この手法を用いて発生期脳神経系におけるCAPN15基質を網羅的に同定する。そして、基質を中心とした分子ネットワークを解析することで、脳神経系形成に必要なCAPN15シグナル経路と、それを支える基質特異性を制御する分子メカニズムを解明し、CAPN15不全による先天性小頭症および眼球障害の発症機序を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、発生期大脳におけるCAPN15 基質とそれを中心とした分子ネットワークを明らかにするために、発生期マウス大脳におけるCAPN15 基質の同定を目指した。最終的にはプロテオミクス解析による網羅的な基質同定を行う予定だが、まず、培養細胞系で同定した相互作用タンパク質について基質であるか否か検討した。 発生過程のプロテオームは大きく変動することから、CAPN15 の基質も発生に伴って変化すると予想された。そこで、ニューロン分化期からグリア分化期までに当たる胎生12日~18日の大脳について解析を行った。培養細胞系で同定したCAPN15相互作用タンパク質(基質候補)のうち、マウス大脳においても発現が認められた分子について、(1)野生型マウスとCapn15ノックアウトマウスにおける発現量、と(2)CAPN15活性依存的な断片の有無について調べ、CAPN15の基質となりうるか検討した。現在のところ、マウス発生期大脳におけるCAPN15基質の同定には至っていない。なお、神経幹細胞増幅期(~胎生12 日)については大脳の摘出が困難なため、上記の実験は行っていない。 また、マウスを用いた実験と並行して培養細胞系での実験も行った。主に、これまでの研究で上皮系細胞で基質として同定しているE-cadherinについてさらなる解析を進めた。その結果、CAPN15と共沈降したE-cadherinとβ-catenin (E-cadherinと複合体を形成)のユビキチン化を検出することに成功した。CAPN15によるE-cadherin切断に必要なユビキチン修飾を明らかにするため、E-cadherinとβ-cateninのE3をノックダウンしてE-cadherin切断への影響を検証している。 さらに、免疫染色によってCAPN15が細胞コロニーのエッジ部分やフィロポディアに強く発現している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CAPN15の精製ができないため、プロテオミクス解析による網羅的同定を行うことができず、目標としていた基質の同定に至っていない。 一方、当初計画に入れていなかった培養細胞系での実験では成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)マウス大脳ライセートを用いたプロテオミクス解析によってCAPN15相互作用タンパク質を同定し、大脳におけるCAPN15基質とそれを中心とした分子ネットワークを解明する。 (2)CAPN15の細胞内局在についてより詳細な検証を行う。この結果から基質候補の選定を行うことも検討する。
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