• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

クルーズトリパノソーマ由来因子による宿主オートファジー回避機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K14509
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分49040:寄生虫学関連
研究機関群馬大学

研究代表者

鬼塚 陽子  群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (30710058)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードTrypanosoma cruzi / オートファジー / SNARE 複合体 / vacuolar protein sorting / シャーガス病 / 宿主応答
研究開始時の研究の概要

中南米で流行するシャーガス病の原因寄生虫Trypanosoma cruziは、宿主防御反応を回避することで生き延びているが、その回避機構の詳細は未だ解明されていない。申請者は宿主病原体排除機構の一つ「オートファジー」に焦点をあて、これまでに原虫感染細胞において、宿主オートリソソーム形成が抑制されていることを明らかにした。そして、オートリソソーム形成に関わるSNARE 複合体との相互作用因子を探索した結果、いくつかの原虫側因子を同定した。これらの機能を解明するために、ノックアウト原虫を樹立し、in vitro、in vivo の実験系を用いて解析することで、病態形成に対する影響を評価する。

研究実績の概要

Trypanosoma cruzi (T. cruzi) は中南米で流行するシャーガス病の原因寄生虫であり、宿主防御反応を回避することで生き延びているが、その回避機構の詳細は明らかにされていない。宿主病原体排除機構の一つ「オートファジー」に焦点をあて、これまでに原虫感染細胞において、宿主オートリソソーム形成が抑制されていることを明らかにし、報告した。その後、オートリソソーム形成に関わるSNARE 複合体との相互作用因子を探索した結果、いくつかの原虫側因子を同定した。本研究では、同定された因子の中でも液胞輸送に係るVPS (vacuolar protein sorting) タンパク質に着目し、研究を進めた。
今年度は原虫感染細胞内における、T. cruzi Vps16 (TcVps16) の局在を調べるために、外注で作製したTc Vps16 抗体を用いて免疫蛍光染色を行い、共焦点顕微鏡により観察を行った。その結果、感染9時間後の宿主細胞内に存在する無鞭毛期虫体(amastigote)の細胞質内において、Tc VPS16 は点状に偏りなく存在していることが明らかになった。また、同時に市販のhuman Vps16 (hVps16) 抗体を用いて、原虫との交差性の確認した結果、hVPS16抗体では原虫は染まらないことを確認した。一方、非感染細胞質内のhVPS16 は検出できなかった。さらに、ウエスタンブロット法を用いて、非感染HeLa 細胞ライセート中のhVPS16タンパク質発現量を調べたが、バンドは検出されなかった。これらの結果から、宿主細胞内のhVPS16 タンパク質発現量が低く、現状では宿主と原虫それぞれのVps16 の細胞内局在を同時に捉えることが困難であるため、hVps16抗体の再検討及び、tag付きhVps16 強制発現細胞の樹立が必要であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上述の実験に時間を要し、当初の予定である、SNARE 複合体 とTcVPS16 の結合部位を調べるためのFRET の系の構築や、変異型TcVps16 リコンビナントタンパク質の作製ができず、両者の結合部位の解明まで至らなかったため、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、SNARE 複合体とTcVps16 が感染細胞内で結合しているかどうか調べるため、TcVPS16 抗体と原虫感染細胞ライセートを用いた免疫沈降法を行い、ウエスタンブロット法で各SNARE 複合体のバンドが見られるか検証する。その後、宿主細胞内における結合の可視化を目指し、FRET あるいは近位依存性ビオチン化酵素(AirID)のシステムを構築する。また、蛍光抗体法で観察できなかったhVPS16 の強制発現細胞を作製する。それと同時に基礎的な情報を得るために、感染細胞におけるhVPS16 遺伝子発現量を経時的に追う予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] <i>In Vitro</i> and <i>in Vivo</i> Study of a Photostable Quinone Compound with Enhanced Therapeutic Efficacy against Chagas Disease2024

    • 著者名/発表者名
      Suto Yutaka, Inoue Nagisa, Tagod Mohammed Suliman Omer, Onizuka Yoko, Nobuta Tomoya, Ishii Mayumi, Inaoka Daniel Ken, Kanamitsu Kayoko, Yamagiwa Noriyuki, Nakajima-Shimada Junko
    • 雑誌名

      CHEMICAL & PHARMACEUTICAL BULLETIN

      巻: 72 号: 4 ページ: 389-392

    • DOI

      10.1248/cpb.c24-00116

    • ISSN
      0009-2363, 1347-5223
    • 年月日
      2024-04-19
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Differential cardiomyocyte transcriptomic remodeling during in vitro Trypanosoma cruzi infection using laboratory strains provides implications on pathogenic host responses2023

    • 著者名/発表者名
      Candray-Medina KS, Nakagama Y, Ito M, Nakagama S, Tshibangu-Kabamba E, Takeda N, Sugiura Y, Nitahara Y, Michimuko-Nagahara Y, Kaku N, Onizuka Y, Arias CE, Mejia M, Alas K, Pena S, Maejima Y, Komuro I, Nakajima-Shimada J, Kido Y.
    • 雑誌名

      Tropical Medicine and Health

      巻: 51 号: 1 ページ: 86-86

    • DOI

      10.1186/s41182-023-00552-6

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 慢性期シャーガス病マウスモデルを用いたキノン含有化合物の抗原虫作用の検討2023

    • 著者名/発表者名
      井上 渚、鬼塚 陽子,古川 眞衣、須藤 豊,西島 良美,齊尾 征直、嶋田 淳子
    • 学会等名
      第70回北関東医学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Chagas 病マウスモデルを用いたバイオイメージングによる原虫の時空間的ダイナミクスと病態解析2023

    • 著者名/発表者名
      小宮山 美月、瀬戸 絵理, 鬼塚 陽子, 齊尾 征直, 西島 良美, 嶋田 淳子
    • 学会等名
      第93回日本寄生虫学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Trypanosoma cruziは宿主processing body形成を誘導して自然免疫応答を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      瀬戸 絵理、喜名 振一郎、川端 麗香、鈴木 万紀子、鬼塚 陽子、嶋田 淳子
    • 学会等名
      第93回日本寄生虫学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 慢性期シャーガス病マウスモデルを用いたIMD-2560による抗炎症作用の解析2023

    • 著者名/発表者名
      古川 眞衣、井上 渚、鬼塚 陽子、西島 良美、小林 さやか、中西 玲子、瀬戸 絵理,齊尾 征直、嶋田 淳子
    • 学会等名
      第93回日本寄生虫学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi