研究課題/領域番号 |
23K14512
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中前 早百合 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (10894884)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | mRNA-LNP / マラリア / liver-stage / 組織常在性記憶細胞(TRM) / 細胞性免疫 / 抗原提示細胞 / 肝細胞期マラリア / 免疫記憶細胞分化 / mRNA含有脂質ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
効果的なマラリアワクチン開発は急務である。肝細胞が最初の標的となるため、肝臓での効率的な細胞性免疫誘導は、マラリア排除において非常に重要である。近年、肝臓常在性記憶CD8T細胞(TRM)がマラリア感染防御に働くことが明らかとなった。申請者は、マラリアワクチン開発に従事し、mRNA含有脂質ナノ粒子(mRNA-LNP)を用いて、肝臓で効率的にTRMを誘導する方法を確立した。その過程で、mRNA-LNP投与経路により肝臓で誘導される記憶細胞が異なることが明らかとなった。 本研究の目的は、mRNA-LNP投与経路の違いにより肝臓で異なる種類の記憶細胞が優位 に誘導される仕組みを明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
当該年度は、初めに詳細な実験計画を策定し、これに含まれる組換え体・動物・放射線を使用した実験の開始に必要な各種申請を行った。具体的には、組換えDNA実験計画書並びに動物実験計画書を作成後に申請を行い、承認を得た。また、放射線照射の実施に必要な講習会受講等も行った。 実験に使用するmRNA封入脂質ナノ粒子 (mRNA-LNP)の作製について、新たに検討すべき項目が追加されたので、同項目の条件検討を行った。また、その結果、市販品のmRNA-LNP使用を考慮することとしたため、その選定を行った。 mRNA-LNP投与時の抗原提示細胞を同定するために実施する樹状細胞並びにマクロファージ除去実験の準備も合わせて進めた。樹状細胞除去については、使用するCD11c-DTRマウス骨髄移入マウス作製の準備を進めた。マクロファージ除去は、除去に使用する試薬等の選定と条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は日々mRNA封入脂質ナノ粒子(mRNA-LNP)を用いた研究を行っている。そのため、申請時よりもmRNA-LNPに関する理解が深まっている。それに伴い、作製時に検討すべきと考える項目が当初計画よりも増えたため、その条件検討に時間を要した。そのため、当該年度内には、予定していたmRNA封入脂質ナノ粒子の投与を伴う免疫実験などを実施することが出来なかった。なお、条件検討の結果、本研究の実験には市販品のmRNA-LNPも使用することを決定し、合わせて、使用する製品の選定や実験条件の検討を進めた。そのため、次年度には遅れを取り戻し当初案で次年度末までに実施するとしていた実験までを完了できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本課題では、mRNA-LNP投与により誘導される免疫のメカニズム解析を行う。具体的には、以下のような実験を行う予定である。まず、市販品のルシフェラーゼ (Luc) mRNA封入脂質ナノ粒子(Luc mRNA-LNP)をマウスに投与し、mRNA-LNPによるタンパク質発現の体内分布を確認する。これに続いて、モデル抗原である卵白アルブミン(Ovalbumin; OVA)を発現させる mRNAを含むLNP (OVA mRNA-LNP)を用いて免疫実験を実施する。本研究では、検出感度を高めるために、OVAのMHCクラスIエピトープ特異的なTCRを発現するCD8陽性T細胞を有する遺伝子組換えマウス(OT-Iマウス)を用い、そのCD8陽性T細胞を移入したマウスを宿主として用いる。予備実験にてmRNA-LNPの投与量決定を行ったうえで、①OVA mRNA-LNPの投与経路が、肝臓の組織常在性記憶T細胞 (TRM)の細胞膜表面マーカー発現、および、TRM細胞の分化に関するmRNA発現に与える影響を検討する。②GFP mRNA-LNPをマウスに投与して、発現したタンパク質がどのような細胞内に認められるかをフローサイトメトリーにより検討する。③どのような抗原提示細胞が肝臓でのTRM細胞形成に重要かを確かめるために、特異的な細胞群除去を行ったマウスを宿主に用いた実験を行う。マクロファージ系細胞はクロドロネート投与により除去する。樹状細胞は、ジフテリア毒素投与によりその除去が可能なCD11c-DTRマウスを用いた骨髄キメラを作製し、これを用いる。これらの実験により、必須な抗原提示細胞など、mRNA-LNPの投与による免疫誘導のより詳細なメカニズムが解明されることが期待される。
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