研究課題/領域番号 |
23K14526
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊東 潤平 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (20835540)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 新型コロナウイルス / 機械学習 / タンパク質言語モデル / ウイルス進化予測 / 変異株解析 / 流行動態 / 形質予測 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルスはパンデミックの間に著しく多様化し、高い伝播力や病原性、免疫回避能、そして治療薬への抵抗性を示す「変異株」が次々と出現してきた。新たに出現した変異株の人間社会に対するリスクを評価するためには、その変異株の性質を実験により明らかにすることが重要となる。しかし、実験には多大な労力が必要なため、相次ぎ出現する全ての変異株を対象に実験を行い、その性質およびリスクを評価することは困難である。本研究では、ゲノム配列から変異株の形質を予測し、潜在的なリスクを評価するAIを開発する。そして、高リスク変異株の出現を超早期に捕捉するシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
ウイルス感染症の制御が難しい要因の一つは、ウイルスが変異を獲得することで進化し、性質を変化させることにある。実際COVID-19パンデミックにおいては、免疫逃避能を上昇させ伝播力(適応度)を上昇させたSARS-CoV-2変異株が相次ぎ出現したことで、流行の制御が困難となった。ゲノムデータの豊富なSARS-CoV-2をモデルとし、ウイルスがどのように適応度を上昇させるのかを解明することで、将来のパンデミックを含めた様々な感染症の制御に向けた知見を得られると期待される。 本年度は、本研究課題では、SARS-CoV-2変異株の適応度をスパイク(S)タンパク質配列に基づき予測する機械学習モデルCoVFitの開発に取り組んだ。具体的には、タンパク質言語モデルESM-2(Lin et al., 2023, Science)を、i) SARS-CoV-2を含む様々なコロナウイルスのSタンパク質配列情報、ii) ウイルスゲノム疫学調査データから推定されたSARS-CoV-2変異株の適応度情報、そして、iii) 実験により網羅的に計測された変異の免疫逃避能に対する機能情報を用いて訓練することで、予測性能の高いモデルを開発した。 本研究では、開発したCoVFitを用いるとウイルスの適応度上昇の遺伝学的基盤を明らかにした。本研究は、ウイルスの流行と法則の法則についての興味深い洞察を提供するだけでなく、ウイルスゲノム疫学調査に変革しうる新たなツールを提供するものである。本研究成果は、ウイルス進化・流行予測に基づくワクチン株の選定など、より効率的なワクチン開発戦略の創出に貢献できる可能性がある。 研究成果のプレプリントとしてbioRxiv上で既に公開済みであり、現在国際科学誌に論文投稿中(査読中)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の要である「ウイルス適応度予測モデル」の開発は既に完了し、現在論文投稿中(査読中)であるため。
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今後の研究の推進方策 |
ウイルスは適応度を上昇する方向に進化する傾向がある。次年度は、開発した「ウイルス適応度予測モデル」に基づくウイルス進化シミュレータを開発することで、SARS-CoV-2の進化を予測する手法を開発する。
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