研究課題/領域番号 |
23K14536
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 |
研究代表者 |
塩田 愛恵 (飯塚愛恵) 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員 (40769585)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | B型肝炎 / 癌化 / マウスモデル / 遺伝子型 |
研究開始時の研究の概要 |
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされる急性、慢性的な肝障害で肝硬変、肝癌へ移行するリスクが高く、世界的に問題である。日本で報告されるHBVは主に2つの遺伝子型(GT-B, C)に占められ、GT-Cの発癌誘発活性は群を抜いて高い。本研究ではGT-Cの高発癌表現型に結び付くメカニズムをウイルス側の観点から解明することを目指す。まず、HBVレプリコン、およびHBVのORF発現プラスミドを、培養細胞あるいはマウスに遺伝子導入し、GT-BとGT-C型を比較することで、高発癌表現型の責任配列を同定する。さらに同定した配列に紐付けされる宿主因子の同定およびその機序解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、B型肝炎ウイルス感染症において遺伝子型間で発癌誘発活性の違うメカニズムをウイルス側の要因から探索することである。今年度は、細胞培養系での各遺伝子型のHBVゲノムプラスミドを用いた表現系の比較を行い、さらにがん化を評価するためのHBVマウスモデルを立ち上げた。 現在までに、作製した遺伝子型GT-A, B, Cのウイルスゲノム1.3倍長を搭載したプラスミドを用いて、細胞培養系において上清中へのウイルス抗原の分泌パターンに相違があることが分かった。しかし、遺伝子型間の遺伝子導入効率に相違があることが判明したため、GT-Cに特異な高発癌配列を縛りこむためには、遺伝子型間での遺伝子導入効率の違いを少なくする、あるいは、その違いを補正する方法論を検討する必要性が浮上した。 さらに、ハイドロダイナミック法(HDI)を用いたHBVマウスモデルの系を立ち上げ、がん抑制遺伝子のノックアウトとHBV遺伝子をHDIを用いて導入することで、マウスのがん化が促進されるかを検討した。まず、がん抑制遺伝子のノックアウト及びHBV遺伝子導入を組み合わせたマウスモデルでは、3ヶ月で肝臓中に腫瘍が観察される結果となり、がん抑制遺伝子ノックアウトマウスよりも腫瘍形成が早いことが分かった。 しかし、本実験に用いたHDI法によるHBVマウスモデルでは、血中ウイルス抗原(HBs)の分泌が3ヶ月未満で消退することが分かったため、より長期に慢性肝炎を引き起こすマウスモデルを構築中である。当該マウスモデルでは、AAVベクターにHBVゲノム1.3倍長を搭載したAAV/HBVを尾静脈注射により投与することで、長期間の血中ウイルス抗原(HBsAg, HBeAg)が観察されることが報告されている。今後はHDI法及びAAV/HBVマウスモデルを使用し、各遺伝子型間のマウスにおける表現型の相違を解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に必要な材料となる各遺伝子型のゲノムプラスミド及びマウスモデルの構築が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
各遺伝子型のがん化を評価するプラットフォームは構築されたが、今後は細胞培養系では遺伝子導入の実験系の改良、マウスモデルではAAV/HBVマウスモデルの確立を行う。
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