研究課題/領域番号 |
23K14538
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤澤 宗太郎 金沢大学, 医学系, 助教 (40965505)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | CD8陽性T細胞 / T細胞疲弊 |
研究開始時の研究の概要 |
疲弊CD8陽性T細胞 (exhausted CTL、Tex) は、転写因子TCF-1を発現する初期疲弊化CTL (pre-Tex、Tpex) と、TCF-1陰性の終末疲弊化CTL (terminal Tex、Ttex) とに分類される。Ttexは免疫チェックポイント阻害に応答しない不可逆的な機能不全状態であるため、Ttexへの終末分化機序の解明は、慢性感染症や癌に対する免疫療法の最適化において極めて重要である。本研究ではTCF-1の機能を調節する作用を持つ転写抑制補因子Tle1に着目し、Tex分化におけるTle1の機能解析を通じて、Texの進展制御機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
疲弊CD8陽性T細胞 (Tex) は、転写因子TCF-1を発現する初期疲弊CTL (Tpex) と、TCF-1陰性の終末疲弊CTL (Ttex) とに分類されるが、その進展メカニズムについては未だ不明な点が多い。本研究ではTCF-1の機能を調節する作用を持つ転写抑制補因子Tle1に着目し、Tex分化におけるTle1の機能解析を通じて、Texの進展制御機構の解明を目指す。本年度は下記 (1) 及び (2) の研究を主に行った。
(1) 申請者はナイーブマウスより分取したCD8陽性T細胞をin vitroにおいて持続的な刺激に曝露することで疲弊状態を誘導する実験系を樹立したが、細胞の生存率が安定せず、最適化を行った。従来の抗CD3/CD28抗体を用いたポリクローナルな刺激ではなく、エピトープペプチドを用いた刺激に変更し、さらに培養時に添加するリコンビナントIL-2の濃度を調整することで、高い生存率を維持しつつ疲弊様の形質を誘導することが出来た。また、レトロウイルスベクターを導入したCD8陽性T細胞に対して同様に持続的な刺激を加えることで免疫チェックポイント分子の高発現などを認め、in vitroにおける疲弊誘導実験にレトロウイルスベクターによる遺伝子編集を組み合わせた実験系の準備が整った。
(2) CD8陽性T細胞に対してTle1の過剰発現を行うために、MSCVレトロウイルスベクターにマウスTle1遺伝子を導入し、発現ベクターを構築した。発現ベクターを哺乳類細胞に導入して得たレトロウイルスをCD8陽性T細胞に感染させ、GFPレポーターの発現によりCD8陽性T細胞にTle1を効率よく導入できていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスTle1遺伝子のクローニングが想定以上に難航し、レトロウイルスベクターの構築に時間を要してしまったため、進捗状況としてはやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
レトロウイルスベクターによりTle1遺伝子を過剰発現させたCD8陽性T細胞に対してin vitroにおける疲弊誘導を行い、細胞増殖や疲弊マーカーの発現、及びサイトカイン産生等について解析を行う。また、ウイルス急性及び慢性感染に対する生体内での応答についても解析し、Tle1がCD8陽性T細胞のメモリー分化及び疲弊に与える影響を検証する。
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