研究課題/領域番号 |
23K14544
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻本 考平 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (00965824)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ミクログリア / Lamtor1 / Ragulator複合体 / Ragulator complex |
研究開始時の研究の概要 |
リソソームは代謝や炎症応答の制御など、単なる分解の場ではなく細胞内のシグナル伝達のハブとして近年、注目されている。リソソームの機能の多様性を生み出す分子基盤として、細胞内の代謝制御をつかさどるmTORC1の足場タンパクとして同定されたRagulator complexが挙げられる。本申請では神経系の免疫細胞であるミクログリアにおいて、Ragulator complexがmTORC1の制御にとどまらない機能を有しているとの仮説に基づき、その機能の解析を行う。また、その制御機構の破綻により生じる疾患の診断及び治療の確立に繋がる成果を目指す。
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研究実績の概要 |
ゲノムワイド関連解析(GWAS)の知見を土台に、ミクログリアにおけるリソソーム膜上に存在するタンパク質複合体であるRagulator complexの機能に着目して、ミクログリアにおける新規機能制御機構の解明を試みる。まず、ミクログリアにおけるRagulator complexの機能を解析する目的で、Ragulator complexの維持に必須であるLamtor1をミクログリアで欠失させたマウスを作成した。具体的にはCx3cr1-Cre; Lamtor1fl/flマウスを作成し、Lamtor1fl/flマウスと比較したところCx3cr1-Cre; Lamtor1fl/flマウスは寿命が短く、生存中も体重が軽いことが明らかとなった。また、組織学的にもCx3cr1-Cre; Lamtor1fl/flマウスは脾腫をきたすことなども明らかとなった。 これらの現象の背景に存在する機序を解析するために、ミクログリアにおけるRagulator complexの相互作用するエフェクター分子の探索を試みたところ、これまでマクロファージや樹状細胞などの他の細胞種では認められなかった複数のタンパク質が同定された。現在、これらの候補タンパク質の中から個体レベルにおける表現系の原因となりうる経路の同定を試みている。また、CX3cr-1の発現がミクログリアに必ずしも限らないため、時期特異的にLamtor1を欠損させることの可能なCx3cr1-CreERT2; Lamtor1fl/flマウスや、LysM-Cre; Lamtor1fl/flマウスなどの複数の系統のマウスも併用しながら解析を行い、本現象が確かにミクログリアの異常によるものであることの検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスの作成やミクログリアの培養を行う系の樹立など、予備的検討も予定通り終了している。また、それらのマウスを用いた基礎的な実験や、細胞を用いての免疫沈降などの実験も予定通り実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
Cx3cr1-Cre; Lamtor1fl/flマウスが示した表現系の個体レベルおよび細胞レベルでの原因同定を行う。具体的にはCX3cr-1の発現がミクログリアに必ずしも限らないため、どの細胞のミクログリアがこうした表現系をもたらすのかを確認している。その方法として時期特異的にLamtor1を欠損させることの可能なCx3cr1-CreERT2; Lamtor1fl/flマウスや、LysM-Cre; Lamtor1fl/flマウス、CD11c-Cre; Lamtor1fl/flマウスなどの複数の系統のマウスも併用しながら解析を行い、みられている表現系がミクログリアの異常によるものであることを確認する。また、並行してLamtor1を欠損したミクログリアの機能解析も行う。これらの表現系の確認とともに、背景にあるメカニズムの道程のために、Ragulator complexの構成要素であるLamtor1と相互作用する可能性のある候補タンパク質を複数同定しており、これらの中から個体レベルにおける表現系の原因となりうるタンパク質を絞りこみ、その相互作用がどのように個体レベルの表現系をもたらすかのメカニズムの解明を試みている。
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