研究課題/領域番号 |
23K14560
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
石橋 公二朗 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (10847601)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 細胞死誘導DNA / 脳転移微小環境 / 細胞療法 |
研究開始時の研究の概要 |
脳転移がんは極めて予後不良であることが知られている。脳転移の治療を困難にしている原因として、脳には血液脳関門が存在しており、脳転移巣への抗がん剤の移行性が低下してしまうことが挙げられる。そこで、この問題を解決するために、申請者は薬剤に頼らない転移性脳腫瘍の治療法として細胞療法に着目した。本研究の目的は、転移性脳腫瘍におけるミクログリアとがん細胞間の機能的なネットワークの全貌を明らかにし、ミクログリアを用いた細胞療法の開発基盤を構築することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は転移性脳腫瘍におけるミクログリアとがん細胞間の機能的なネットワークの全貌を明らかにし、ミクログリアを用いた細胞療法の開発基盤を構築することである。 2023年度は、ミクログリアによるDNAを介した細胞死誘導の分子メカニズムに着目して解析を行った。その結果、がん細胞との共培養条件におけるミクログリア由来のエクソソームを濃縮し、がん細胞に加えることでがん細胞の細胞死が誘導された。重要なことに、ミクログリアの単独培養条件のエクソソームではがん細胞に細胞死が誘導されなかったことから、がん細胞との共培養によりミクログリアが活性化されることがミクログリアによる腫瘍細胞障害性に重要であることが明らかになった。 さらに、ミクログリアと共培養したがん細胞において、DNAセンサー分子であるIFI16とその下流でインフラマソームを誘導するASC、Caspase1が活性化していることを以前に見出していたが、どのようなDNAがミクログリアからがん細胞に送り込まれ、IFI16を活性化しているのかについて解析を行った。その結果、ある特異的な配列を持つDNAを同定することに成功した。このDNAを合成し、がん細胞にトランスフェクションすることにより、がん細胞に細胞死が誘導されること、またこの細胞死はIFI16のノックダウンによりキャンセルされることから、この配列のDNAはIFI16を活性化することにより細胞死を誘導するということが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画において2年目に行う予定であった細胞死誘導性DNAの性質に関する解析を行い、同定することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
同定した細胞死誘導性DNAがミクログリアからがん細胞に送り込まれているのかについて、ミクログリアと共培養したがん細胞を回収し、次世代シークエンサーを用いた解析により検討する。さらに、がん細胞と共培養したミクログリアにおいて、細胞死誘導性DNAがどのように生成され、がん細胞の中に送り込まれているのかについて、エクソソームに着目して解析を行う。これらの解析を行うことにより、ミクログリア由来細胞死誘導DNAの性質を明らかにする。
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