研究課題/領域番号 |
23K14567
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
川北 恵美 島根大学, 医学部, 助教 (70835884)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | DPP-4 / DPP-4阻害薬 / オートファジー / 乳癌 / メトホルミン |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病治療薬が癌進展プロセスに与える影響の解明は急務の研究課題である。申請者は、抗糖尿病薬であるDPP-4阻害薬がmTOR活性化を介して乳癌細胞の増殖・転移を誘導することを報告した。これまでの検討で、DPP-4阻害薬はmTOR依存的に乳癌の成長を促進したがその分子機序は不明であった。本研究では、DPP-4不全がmTOR活性化によりHIF-1αの発現を増加させ乳癌細胞のオートファジーを誘導することで、乳癌生存に寄与しているのではないかとの仮説の元、実験を行う。培養乳癌細胞、乳癌モデルマウス、臨床サンプルを用いた検討にて、DPP-4阻害薬が乳癌進展に与える影響とその分子機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
正常乳腺上皮細胞(MCF10A)およびヒト・マウス乳癌細胞株(MCF-7, MDA-MB-231, 4T1)を用いて、DPP-4阻害薬(KR62436: KR)の48時間孵置実験を行い、DPP-4阻害がオートファジーへ与える影響をin vitroにて検討した。 Western blot法(WB)にて、DPP-4阻害薬孵置後の乳癌細胞では無投薬コントロールと比して、p62の蛋白発現低下、LC3Ⅱの発現増加を認め、オートファジーが誘導された。一方で、DPP-4阻害薬は正常乳腺上皮細胞のオートファジー関連蛋白の発現に影響を与えず、DPP-4阻害の意義は正常細胞と癌細胞では異なる可能性も示唆された。 また、DPP-4阻害薬で誘導された乳癌細胞のオートファジーは、mTOR阻害薬であるラパマイシン or メトホルミンの共孵置、HIF-1αのノックアウトによりキャンセルされ、mTOR/HIF-1α経路の活性化を介したオートファジー誘導機序が想定された。 次にアポトーシスへの影響を検討するため、WBにて細胞のcaspase-3/活性型caspase-3の発現を調べた。DPP-4阻害薬孵置後の乳癌細胞では、活性型caspase-3の発現が減少しておりアポトーシス抑制効果が示されたが、オートファジー阻害薬である3-メチルアデニンの共孵置によりキャンセルされた。これらの結果から、in vitro実験においてDPP-4阻害はmTOR/HIF-1α経路を活性化することで乳癌細胞のオートファジーを誘導し、細胞死抑制に寄与する可能性が考えられた。 これらの結果は第66回日本糖尿病学会で発表し、Cancers(Basal)誌に論文報告を行なった(doi:10.3390/cancers15184529.)。
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