研究課題/領域番号 |
23K14568
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平岡 恵美子 広島大学, 病院(医), 助教 (90624643)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 14-3-3γ / MDMX / TP53変異 / 乳癌細胞 / 結合阻害 / 乳癌細胞運動 / pseudopodia |
研究開始時の研究の概要 |
①ヒト乳癌組織検体における14-3-3γ過剰発現とp53、MDMX発現の関連、およびTP53遺伝子変異とYWHAG(14-3-3γ)発現上昇の関連を明らかにする。 ②リンパ節転移を有する乳癌患者の血漿中の14-3-3γを検出し、予後予測因子としての意義を検証する。 ③MDA-MB-231、MCF-7乳癌細胞株に対しsiRNAでMDMXをノックダウンしWestern blottingでp53と14-3-3γ発現の定量、migration assay・wound healing assayで運動能を評価する。MDMXと14-3-3γ特異的に阻害する物質を検索し、乳癌細胞株において結合阻害実験を行う。
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研究実績の概要 |
①乳癌細胞株TP53野生型MCF7、TP53変異型MDA-MB-231(R280K), SKBR3(R175H), MDA-MB-468(R273H)を用いて、14-3-3γ,MDMX,p53の発現をウェスタンブロッティングで確認した。TP53野生型MCF7ではp53の発現は発現低下を認め、変異型の3種類はそれぞれ発現亢進を認めた。一方でMDMXの発現は、過剰発現が報告されているMCF7で発現亢進していることを確認した。次にプロテアーゼインヒビターのMG132投与下でDNA障害からリン酸化を誘導するため、doxorubicinをMCF7とMDA-MB-231細胞株の培地に添加した。14-3-3-γと結合すると予想されるMDMX ser367, ser342のリン酸化が1、2、3時間後に経時的に増加することをウェスタンブロッティングで確認した。更に、MDA-MB-231細胞株から抽出したタンパク質を用いて共免疫沈降を行い、リン酸化誘導下において14-3-3γとMDMX ser367, ser342の実際の結合をウェスタンブロッティングで確認した。 ②MDA-MB-231細胞株と同じトリプルネガティブタイプの乳癌の、術前化学療法未施行の手術病理検体を用いて(原発巣、リンパ節転移)、p53、14-3-3γの免疫染色を行い、リンパ節転移との相関について調査中である。 ③第29回日本遺伝性腫瘍学会学術総会でAYA世代の乳癌患者における、周術期のBRCA1/2遺伝学的検査の実施状況についての発表を行った。第31回日本乳癌学会学術総会で、がん包括的ゲノムプロファイリング検査による乳癌の遺伝性腫瘍と乳癌細胞におけるTP53等の病的遺伝子変異の発現状況についての発表を行った。上記の学会において、本研究分野についての学識を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において乳癌細胞株を用いて、結合阻害のターゲットとなるMDMXと14-3-3γの結合を実際に確認する事ができた。次はこの結合を阻害する阻害剤を化合物ライブラリーを検索し、候補を選択し化合物阻害実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
トリプルネガティブ乳癌の病理検体80例を用いて、原発巣におけるp53と14-3-3γ発現の関連、リンパ節転移巣におけるp53と14-3-3γ発現の差異を確認し、リンパ節転移との関連を検証する。MDMXと14-3-3γの阻害実験を通して、細胞内のp53発現低下、乳癌細胞運動能の低下をmigration assayで明らかにする。
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