研究課題/領域番号 |
23K14569
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鶴田 朗人 九州大学, 薬学研究院, 助教 (40847745)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 腫瘍免疫 / 概日リズム / T細胞 / 腫瘍微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、新しい作用機序に基づいた抗がん剤であるが、抵抗性を示す症例も多く、治療効果を高めるために様々な検討が行われている。ICIに抵抗性を示す症例では腫瘍内に浸潤したキラーT細胞が、がん細胞の周辺に到達できてないことが指摘されているが、その原因は不明である。一方で、免疫細胞の遊走(移動)には約24時間を1周期とする明瞭な概日リズムが認められる。本研究では、免疫チェックポイント阻害剤への抵抗性が生じるメカニズムの解明を目指し、腫瘍微小環境における免疫細胞の遊走活性を制御する概日リズム機構に着目し、腫瘍微小環境におけるキラーT細胞の局在変容メカニズムの解析を試みる。
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研究実績の概要 |
腫瘍組織はがん細胞のみならず、T細胞やマクロファージといった免疫細胞や繊維芽細胞などの様々な細胞によって構成されており、これら細胞によって構築される環境を腫瘍微小環境と言う。免疫チェックポイント阻害薬(Imuune checkpoint inhibitor)は、新しい作用機序に基づいた抗がん剤であり、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞の活性化を介してがん細胞の排除を促すことから様々ながん種に適応を拡大している。しかしながら、免疫チェックポイント阻害剤に抵抗性を示す症例も多く認められ、免疫チェックポイント阻害剤による治療効果を高めるために様々な検討が行われている。免疫チェックポイント阻害剤が奏功しない症例では腫瘍内に浸潤したキラーT細胞が、がん細胞の周辺に到達できてないことが指摘されているが、その原因については不明な点が多い。申請者はこれまでの腫瘍内の免疫細胞の概日時計機構を解析した研究を基に、腫瘍組織に浸潤したT細胞において一部、概日時計機構の変調が生じていることを見出した。また、この概日時計機構の変調を介して局在制御因子の発現変動が生じ、免疫チェックポイント阻害薬の抵抗性に繋がっていることが示唆されている 。また、ヒトの肺がん患者から取り出されたT細胞のシングルセルRNA-seqを解析した結果、マウスで見出された所見と同様の変容が生じていることを突き止めている。今後は、腫瘍に浸潤したT細胞の変容機構について解析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
概日時計変調による局在制御因子の変調について解析を行っていく。概日時計変容に関連する因子の発現解析や、ルミサイクルを用いた概日時計機構解析を組み合わせることで、詳細なメカニズム解析を行う。また、変容する局在制御因子の阻害剤を用いることで免疫チェックポイント阻害剤抵抗性の改善が可能であるかについて検討を行う。
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