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濾胞性ヘルパーT細胞の二面性に基づく悪性リンパ腫の腫瘍微小環境の本態解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K14594
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分50010:腫瘍生物学関連
研究機関岡山大学

研究代表者

長崎 譲慈  岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (20955447)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード濾胞性ヘルパーT細胞 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腫瘍微小環境 / T細胞疲弊 / 悪性リンパ腫 / がん免疫 / CD4陽性T細胞
研究開始時の研究の概要

申請者は従来B細胞を促進する濾胞性ヘルパーT細胞(TFH)の一部が腫瘍局所で細胞傷害性を有することを示したが、これらの細胞傷害性TFHと従来型TFHはCD8陽性T細胞のterminally/progenitor exhaustionの概念に近似していた。またICI治療後に発症した悪性リンパ腫症例を複数見出しており、ICIにより従来型TFHが活性化し悪性リンパ腫を促進する可能性を考えた。悪性リンパ腫でTFHは抗腫瘍作用と腫瘍促進作用の二面性を有し、このことはCD8陽性T細胞のexhaustionの概念に近く、本研究ではこれらの解明を目指す。

研究実績の概要

免疫チェックポイント阻害剤(ICI)はその有効性が認められ広く臨床応用されているが、悪性リンパ腫に対する効果は十分ではない。不明点が多い悪性リンパ腫の腫瘍微小環境(TME)での濾胞性ヘルパーT細胞(TFH)の役割を明らかにし、新たな治療標的やバイオマーカーの同定、新規細胞概念の確立、悪性リンパ腫の本態解明に繋げる目的で本研究を遂行している。
今年度はTMEでのTFHの役割を明らかにし、TFHの細胞傷害性やexhaustion に関して新たな知見を見出した。まずはin vivoモデルを用いて腫瘍浸潤リンパ球 (TIL)のTFHのIFN-γやグランザイムB、IL-4やIL-21などを測定することでTFHの役割を評価した。TMEのTFHの中には従来型のCXCR5陽性PD-1陽性TFHに加え、グランザイムB分泌が亢進した細胞傷害性TFH様細胞が存在し、これらがLAG-3を高発現することを見出した。これらの細胞の実際の細胞傷害活性を検証するために、OT-IIマウスの脾臓からLAG-3陽性細胞傷害性TFH様細胞をソートし、OVA発現MHC-II発現MC-38細胞株とをin vitroで共培養した結果、実際に細胞傷害活性を有することが明らかとなった。さらに遺伝子発現解析の結果から細胞傷害性TFH様細胞がCD8陽性T細胞のterminally differentiated exhaustionに近い表現型であることを同定したため、その機能を評価したところ、細胞傷害性TFH様細胞はアポトーシスしやすく細胞増殖能が低下しており、抗PD-1抗体による反応性が低下していた。以上から、細胞傷害性TFH様細胞はCD8陽性T細胞のterminally differentiated exhaustionと細胞特性としても類似していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の予定してたマウスのTILを用いた腫瘍浸潤TFHの解析、並びにTFHの細胞傷害性とexhaustionに関する検証は完了している。

今後の研究の推進方策

今年度の研究により固形がんのTMEでTFHが直接的な細胞傷害活性を持って腫瘍を攻撃していることを明らかにし、さらに細胞傷害性TFH様細胞はCD8陽性T細胞におけるterminally exhaustionに該当することを明らかにした。次年度は悪性リンパ腫のTMEにおいて、従来のTFHと細胞傷害性TFH様細胞それぞれが果たす役割を明らかにする。In vivoモデルではMHC-IIを発現した悪性リンパ腫細胞を用いてそのTILの解析を行う。また、悪性リンパ腫の臨床検体を用いてその腫瘍微小環境を病理学的に検証することも予定している。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] CD106 in tumor-specific exhausted CD8+ T cells mediates immunosuppression by inhibiting TCR signaling2024

    • 著者名/発表者名
      Naoi Y, Morinaga T, Nagasaki J, Ariyasu R, Ueda Y, Yamashita K, Zhou W, Kawashima S, Kawase K, Honobe-Tabuchi A, Ohnuma T, Kawamura T, Umeda Y, Kawahara Y, Nakamura Y, Kiniwa Y, Yamasaki O, Fukushima S, Kawazu M, Suzuki Y, Nishikawa H, Hanazawa T, Ando M, Inozume T, Togashi Y.
    • 雑誌名

      Cancer Research

      巻: - 号: 13 ページ: 2109-2122

    • DOI

      10.1158/0008-5472.can-23-0453

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Stem-like progenitor and terminally differentiated TFH-like CD4+ T cell exhaustion in the tumor microenvironment2024

    • 著者名/発表者名
      Zhou W, Kawashima S, Ishino T, Kawase K, Ueda Y, Yamashita K, Watanabe T, Kawazu M, Dansako H, Suzuki Y, Nishikawa H, Inozume T, Nagasaki J, Togashi Y.
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: - 号: 2 ページ: 113797-113797

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2024.113797

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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