研究課題/領域番号 |
23K14599
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
佐事 武 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90906281)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | KIF1C / ダイニン / リソソーム / Hook3 / 浸潤突起 / c-Src / PTPD1 |
研究開始時の研究の概要 |
浸潤突起は高浸潤性のがん細胞が形成する細胞膜突起構造であり、周囲の細胞外基質を消化酵素によって分解したり物理的に押し寄せたりすることで道筋をつくるとともに、先導端として細胞移動を駆動する役割を担っている。しかし、浸潤突起の形成過程については未だ不明な点が多い。申請者は最近、Lattice Light Sheet Microscopeを用いたライブイメージング解析から、浸潤突起は従来考えられていた安定な構造とは異なり、複数の突起が伸長と収縮を繰り返す動的な構造であることを見出した。本研究では、浸潤突起の動的性質原理とそのがん細胞浸潤における役割をKIF1Cの機能の側面から明らかにする。
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研究実績の概要 |
浸潤突起は高浸潤性のがん細胞が形成する細胞膜突起構造であり、周囲の細胞外基質を消化酵素によって分解したり物理的に押し寄せたりすることで道筋をつくるとともに、先導端として細胞移動を駆動する役割を担っている。申請者は最近、Lattice Light Sheet Microscopeを用いたライブイメージング解析から、浸潤突起は従来考えられていた安定な構造とは異なり、複数の突起が伸長と収縮を繰り返す動的な構造であること、またそれにはc-SrcによるKIF1Cリン酸化が必要である可能性を見出した。現在、KIF1C依存的に結合する分子としてCCDC9を見出したことから、両者の関係性について解析を行っている。 また、申請者は現在KIF1Cとリソソームの細胞内分布の制御についても解析を行っている。リソソームの細胞内分布はモータータンパク質のキネシンとダイニンによる微小管に沿ったリソソーム輸送が中心的役割を担っている。本研究ではKIF1Cがダイニン活性化因子であるHook3を介してダイニンによるリソソームの逆行輸送に寄与していることを見出した。先行研究よりKIF1Cはダイニンの活性化分子であるHook3と結合することでダイニン-KIF1C複合体が形成されることが示されている。そこでHook3の関与について検討した結果、KIF1Cによるリソソーム分布制御にはHook3との結合が必要であることが明らかになった。興味深いことに、モーター領域を欠失したKIF1C-Δmotorは、野生型KIF1Cと比較して核周辺部へのリソソーム集合を増強させた。また、KIF1C-Δmotorによるこのリソソーム集合の亢進は、ダイニン重鎖またはHook3の発現抑制により阻害された。これらの結果より、KIF1CはHook3を介してダイニンによるリソソーム逆行性輸送を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度よりKIF1Cの新たな機能としてHook3の結合を介してダイニン-リソソームの細胞内分布に関わることを見出した。また、現在論文報告に向けたデータが順調に得られていることから、本課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
KIF1Cはリソソームのカーゴ分解機能に重要であることを明らかにしたが、その詳細なメカニズムは不明な点である。そのため、リソソームの生合成およびその再形成に関するメカニズムとKIF1Cの関係について検討を進める予定である。
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