研究課題/領域番号 |
23K14600
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
押 正徳 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70967398)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | バイオマーカー / TNBC / 遺伝子発現 / 3-gene / 化学療法 / 効果予測 / 乳癌 / トランスクリプトーム |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はすでに今回使用するScoreがTNBC患者において治療予測,更には予後予測バイオマーカーとして有用であることを,欧米人を対象とした次世代シーケンサーによる網羅的データを用いて示してきた.本研究ではこのscoreを国内で臨床応用可能となることを明らかにすることが目的である.申請者の関連施設における乳癌患者検体からqPCRを用いて各3-gene score値を算出し,日本人に適切なCut-off値を導き出し感度特異度を算出することで,人種間による遺伝学的背景の違いによる影響を受けず,より高い精度のバイオマーカーが作成可能となると考える.
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研究実績の概要 |
本研究は自施設検体から3種類のRNAを抽出し、PCRにて各遺伝子発現値を計測、3-gene scoreを作成し、その臨床学的有用性を探索する研究である。現在、自施設検体のうち、適合するサンプルの選択を行い、実際に検体のRNA抽出を進めている。並行して臨床データの作成も行っている。本研究の目的の一つである、「日本人に適切なCut-off値を導き出し感度特異度を算出する」点において順調に検体収集が行えている。これは、本邦の治療ガイドラインのもととなっている臨床試験の多くが海外のデータである点から着想しており、実際に人種間の遺伝子発現の違いは昨今重要なテーマとなっている。また、選択されたサンプルにおけるFFPE切片から腫瘍部位のみを抽出するmicro disectionの手技を取り入れた。これは実際にPCRを行ったところ、micro disectionを行うことでより質が担保されたRNA抽出が可能となることがトライ&エラーを繰り返すことで発覚した。本研究は、前研究で使用したsequence dataを用いるのではなく、qPCRで測定することでより安価で臨床応用を見越したツールとすることが目的の一つでもあり、その質の担保が重要となるため、この手技の選択・技術の習得は有用であると考える。また、一部の検体でqPCRからmRNA発現値の計測の技術習得も進めている。臨床データはそろいつつあり、化学療法効果奏功群と非奏功群とではki67の発現が異なる以外に背景に差を認めていない。このことからも腫瘍の遺伝子発現を解析する本研究の手法は臨床データからは見えない側面を描出できると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、自施設検体のうち、適合するサンプルの選択を行い、実際に検体のRNA抽出を進めている。並行して臨床データの作成も行っている。これは本来2023年度研究計画で予定されていた①mRNAの抽出、②3-gene score値の算出、③新規組織の収集が進行中であることを意味する。これはFFPEからmicro disectionを行う手技の取得に難渋したことが予定より遅れているためである。本来、FFPE検体をそのまま使用する予定であったが、実際に行ったところその遺伝子発現のクオリティーが担保されず、研究関係者と協議し、より腫瘍の特性を反映させるためにもmicrodisectionを行ったのちRNA抽出をする方針としたためである。この工程は研究を進めることによってでてきたトライ&エラーで発覚したことであり必要な工程であると考える。本研究はまた、前研究で使用したsequence dataを用いるのではなく、qPCRで測定することでより安価で臨床応用を見越したツールとすることが目的であり、その質の担保が重要となる。実際、この工程を取り入れることでより高いクオリティーの遺伝子収集が可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在工程に必要な手技の獲得を進めている。すべての実験技術がついた段階で次のステップとして3-gene scoreの算出、臨床データとの関連を探究することが可能となる。一度技術習得が行われれば、その後の過程はスムーズに進むため、研究予定期間内に全行程を遂行できると考える。技術習得に難渋した場合、当施設の他科研究員に相談し、指導を仰ぎ進めていく。
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