研究課題/領域番号 |
23K14620
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉田 道春 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00795437)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 薬物送達治療 / 悪性神経膠腫 / リポソーム / 血液脳関門 / 三次元解析 / ドキソルビシン / mRNA封入脂質ナノ粒子 / 抗癌剤封入リポソーム |
研究開始時の研究の概要 |
悪性神経膠腫は外科的摘出に限界があり、放射線や化学療法といった後療法に対しても抵抗性である。薬剤抵抗性の主要因として血液脳関門の存在による薬剤送達の問題が挙がる。 本研究では悪性神経膠腫モデルに対しドキソルビシン封入リポソームを脳内送達後、3次元的薬物動態解析により安全で有効な薬剤送達を実現し、ヒト悪性神経膠腫における化学療法の治療効果の向上を目的とする。 ヒト悪性神経膠腫細胞株脳移植マウスに対しマイクロバブル投与後に、薬剤封入リポソームを静注し超音波を照射する。組織内薬物動態を脳組織透明化技術で3次元的に解析し、継時的腫瘍変化と生存期間、病理組織学的検討から抗腫瘍効果と有害事象を比較検証する。
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研究実績の概要 |
悪性神経膠腫は外科的摘出に限界があり、放射線や化学療法といった後療法に対しても抵抗性である。薬剤抵抗性の主要因として血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)の存在による薬剤送達(drug-delivery system: DDS)の問題が挙がる。近年、経頭蓋MRIガイド下集束超音波(focused ultrasound: FUS)装置が開発、臨床導入され、神経変性疾患や脳腫瘍分野では、超音波の振動作用を利用した低エネルギー照射による「脳内選択的および限局的なBBBの一時開口」によるDDSへの応用が期待されている。 本研究では悪性神経膠腫モデルに対しマイクロバブル(micro-bubbles: MB)製剤とFUS装置を用いてBBBを開口させ、ドキソルビシン(doxorubicin: DOX)封入リポソーム(liposome: LP)を脳内送達後、3次元的薬物動態解析により安全で有効なDDSを実現し、ヒト悪性神経膠腫における化学療法の治療効果の向上を目的とする。 正常および免疫不全マウスに対しMBとエバンスブルーを静注後、頭部にFUSを照射しBBB開口の効果と安全性を評価しBL量、超音波照射条件(照射強度、照射時間、Duty Cycle)を最適化した。また、U87MGヒト悪性神経膠腫細胞株脳移植マウスの作成に成功し、IVISを用いた継時的脳腫瘍評価手技および組織透明化技術を用いた共焦点顕微鏡による3次元解析手技を習得、確立した。 今後は、U87-MGヒト悪性神経膠腫細胞株脳移植マウスに対しMB投与後に、DOX封入LPを静注しFUSを照射する。BBB開口と組織内薬物動態を脳組織透明化技術で3次元的に解析し、IVIS(in vivo imaging system)による継時的腫瘍変化と生存期間、病理組織学的検討から抗腫瘍効果と有害事象を比較検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、正常およびヌードマウスに対して麻酔下にMBとエバンスブルーを静注後、頭部に3-MHz FUSを照射してBBB開口と有害事象(浮腫、出血、凝固など)に関して病理組織学的に評価した。脳損傷なく安全に、かつ浸潤性の脳腫瘍を十分に包含するBBB開口(エバンスブルーの漏出)が確認できる超音波照射条件(照射強度、照射時間、Duty Cycle)を最適化した。 並行して、U87-MGヒト悪性神経膠腫細胞株脳移植マウスモデルを作成し、IVISを用いた継時的脳腫瘍評価と、組織透明化技術を用いた共焦点顕微鏡による3次元的解析手技を習得、確立した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は前述の適正化された照射条件下で、安全かつ任意のDOX単独および(径100 nm、径55 nm)DOX封入LP濃度下においてMBとFUSによるBBB開口をU87-MG移植マウスモデルに対して施行し、IVISによる継時的腫瘍変化と生存期間、病理組織学的検討から抗腫瘍効果と有害事象の有無を比較検討する。 さらに、上記より得られた条件下でU87-MG移植マウスモデルにおけるBBB開口後のMBとDOX単独および(径100 nm、径55 nm)DOX封入LPの薬物動態を、組織透明化技術と共焦点顕微鏡を用いて3次元的に比較検証する。
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