研究課題/領域番号 |
23K14621
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
秋山 貴彦 公益財団法人がん研究会, 有明病院 大腸外科, 医員 (10897052)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 癌関連線維芽細胞 / 腫瘍微小環境 / 線維化腫瘍 / 骨髄由来免疫抑制細胞 / 免疫チェックポイント阻害薬 / がん関連線維芽細胞 / 腫瘍免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍間質中のCAFsは腫瘍進展・治療抵抗性を促進しており、その機序のひとつとして腫瘍微小環境における腫瘍免疫抑制が報告されている。本研究の目的は、腫瘍間質中のCAFs由来ケモカインによって誘導される免疫抑制性腫瘍微小環境ネットワークを明らかにし、免疫チェックポイント阻害剤の奏効率を高める複合療法の開発に繋げることである。 CAFsにおけるPDGF受容体を標的とした薬剤との併用で免疫チェックポイント阻害剤の治療効果をより高めることを目的とした複合がん免疫療法の開発により、スキルス胃癌といった腫瘍間質が豊富なタイプの癌患者の生存期間を向上させる可能性があり臨床的に極めて意義深い研究と考えられる。
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研究実績の概要 |
進行癌の腫瘍間質中に存在する癌関連線維芽細胞:CAFs(Cancer Associated Fibroblasts)は腫瘍進展・治療抵抗性を促進していることが知られており、その機序のひとつとして腫瘍微小環境における腫瘍免疫抑制が報告されているが、十分な解明には至っていない。 固形癌の腫瘍間質に存在するCAFsには線維芽細胞の増殖因子として知られるPDGF(platelet-derived growth factor)に対する受容体であるPDGF受容体が発現しているがα受容体およびβ受容体の存在とリガンドがPDGF A-Dまで存在するため、十分な理解が進んでいないのが現状である。 また、CAFsは様々な免疫担当細胞と関与していることが報告されているが、その中で近年、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSCs)が注目されている。MDSCsは癌患者の腫瘍微小環境における免疫抑制の主要部分を担う骨髄由来の未熟な細胞群の総称であり免疫チェックポイント阻害剤の抵抗性に関わるとされている。我々はPDGF刺激を行った胃癌CAFsを用いてRNAシーケンシングを行った結果、MDSCsの腫瘍内集積に関わる特定のケモカイン(CXCLs)発現が上昇することを見出した。 本研究の目的は、腫瘍間質中のCAFs由来ケモカインによって誘導される免疫抑制性腫瘍微小環境ネットワークを明らかにし、免疫チェックポイント阻害剤の奏効率を高める複合療法の開発に繋げることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継代移植によって線維性胃がん腫瘍マウスモデルを作成し、得られた高度線維化腫瘍をFACSによって解析し、腫瘍浸潤リンパ球の減少、腫瘍免疫を強く抑制するMDSCの増加を認めた。 マウス胃がん細胞であるGAN-KP細胞とマウスの皮膚から抽出した線維芽細胞を共培養することで、線維芽細胞におけるケモカイン発現が上昇し、PDGFRα/β 阻害作用を持つマルチキナーゼ阻害剤を用いることでこれらのケモカイン遺伝子発現を抑制することが分かった。 線維性胃がん腫瘍マウスモデルにマルチキナーゼ阻害剤を投与し、得られた腫瘍に対してシングルセル RNA シーケンシングと空間トランスクリプトミクスを行い、PDGF受容体阻害を行うことで免疫抑制性微小環境を改善することが実証された。
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今後の研究の推進方策 |
線維性胃がん腫瘍マウスモデルに対するマルチキナーゼ阻害剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法の実験を行う。 また腫瘍の線維化を予測するのに有用な癌細胞由来のバイオマーカー研究を行う。
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