研究課題/領域番号 |
23K14632
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
大橋 彩香 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60844371)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 慢性活動性Epstein-Barrウイルス病 / CAEBV / バイオマーカー / Flt3-L / Flt3 / サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
慢性活動性Epstein-Barrウイルス病(CAEBV)は希少難治性EBV陽性T、NK細胞腫瘍である。唯一の根治療法である造血幹細胞移植は限られた患者にしか遂行できないことから、病態解明と治療薬の開発は喫緊の課題である。Flt3-LはCAEBV患者血漿中に高濃度で存在し、CAEBVの疾患活動性と相関したこと、Flt3の阻害薬がCAEBV患者の感染腫瘍細胞を含む末梢血単核球の増殖とサイトカイン産生をin vitroで抑制したことから、本研究ではFlt3-L/Flt3分子シグナルのCAEBVの病態における意義の解明と治療標的としての可能性を、臨床試料とCAEBVモデルマウスを用いて検証する。
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研究実績の概要 |
慢性活動性Epstein-Barrウイルス病(CAEBV)の唯一の根治療法である造血幹細胞移植は、ドナーの有無、年齢、全身状態等の条件を満たした限られた患者にしか遂行できず、迅速な診断、病態解明と治療薬の開発は喫緊の課題である。CAEBV患者の血中には、IFN-γやIL-1β等のサイトカインが高濃度で存在し、CAEBVの病態と密接に関与していることを明らかにしてきた。一方で、CAEBVのバイオマーカーは依然不明であったことから、CAEBV患者血漿を用いたサイトカインのスクリーニングを実施した。Flt3-L濃度は、CAEBV患者血漿中で健常者と比較し有意に高く、疾患活動性と相関することを明らかにし、これらのデータを元にカットオフ値の設定を行った。さらに、CAEBV患者細胞より樹立したEBウイルス感染細胞株を用いて培養上清中のFlt3-L濃度を測定した。健常者血中よりも高濃度のFlt3-Lが検出された一方で、CAEBV患者血中濃度と比較し低値を示した。この結果から、Flt3-Lは、CAEBV患者血中のEBウイルス感染細胞だけではなく、EBウイルス非感染細胞からも産生されているのではないかと推測し、Flt3-L産生細胞を同定するため、sc-RNA seqを施行している。また、Flt3-Lの受容体であるFlt3阻害薬がCAEBV患者のEBウイルス感染細胞を含む末梢血単核球に対し、細胞増殖の抑制と、炎症性サイトカインの産生を抑制することも明らかにした。そこで、Flt3発現細胞についても、sc-RNA seqにより同定を行っており、病態の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
CAEBV患者血漿中のFlt3-L濃度の測定を症例数を増やして測定すると共に、健常者血漿中の濃度を測定し、カットオフ値の設定を行った。また、Flt3-L産生細胞と、Flt3発現細胞の同定にも着手しており、計画は順調に進んでいる。また、次年度以降の予定であった疾患活動性との相関など、Flt3-l濃度と病勢の関連解析も行っている。さらに、Flt3-L以外の液性因子についても、CAEBV病態を反映する因子として同定しており、そちらの解析も同時に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っているFlt3-L産生細胞と、Flt3発現細胞の同定を完了する。同定した細胞を用いて細胞内シグナルを明らかにし、病態の解明を行う。また、CAEBV新規治療薬としてのFlt3阻害薬の有効性を検討するため、CAEBVモデルマウスを用いて検証を行う。
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