研究課題/領域番号 |
23K14640
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
横山 拓史 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (10648885)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 胃癌 / 腹膜播種 / 蛍光L型グルコース |
研究開始時の研究の概要 |
腹膜播種は進行胃癌の形態として最多ですが予後は不良である。胃癌の手術では、腹腔内洗浄細胞診という手技で病変から脱落してお腹の中に遊離する癌細胞の有無を確認していますが、検査の精度は十分ではない。弘前大学では蛍光L型グルコースという癌細胞に取り込まれて蛍光を発する物質を開発し、他臓器の癌細胞を蛍光L型グルコースで標識できることを確認した。そこで、蛍光L型グルコースで胃癌の腹膜播種を早期に診断する方法を新たに考案した。本研究は、蛍光L型グルコースで胃癌の腹膜播種を早期に診断し、治療効果と予後を改善することを目的として行う。
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研究実績の概要 |
令和5年度に実施した研究成果は大きく分けて、実際に胃癌手術症例の手術時に腹腔内洗浄細胞診を採取し、細胞の蛍光標識を開始することと、細胞の恒常性維持、細胞の抽出、蛍光L型グルコースを用いた細胞の蛍光標識におけるプロトコールの改良である。
1)検体の採取と蛍光標識:対象とする症例の手術前に研究の要旨と目的を患者様ご本人に説明し、同意をいただいた上で、胃癌手術時に行う腹腔内洗浄細胞診の余剰検体を採取し、予備的実験で確立した手法を用いて細胞の蛍光標識を開始した。採取した検体は病理専門医による病理診断の確認を行い、症例は胃癌治療ガイドラインに沿って術後フォローアップを開始した。 2)プロトコールの改良:対象とする胃癌症例の手術時に採取した検体において、細胞の恒常性を維持しながら異形細胞を蛍光標識する技術は既に婦人科悪性腫瘍を用いた予備的実験で確立しているため、それに準じた手法を用いることで実験を開始した。しかし実際に採取した検体で実験を開始すると、細胞の恒常性を維持した状態での細胞の抽出、細胞の固定とKRB液の灌流、2-NBDLGを用いた細胞の蛍光標識、蛍光強度の観察の手順はいずれも微細な調整や精緻な作業が必要であり、手技の安定化が容易ではないこと、対象とする細胞の評価に時間を要することが判明した。客観的な評価を行うためには、すべての検体においても安定化した手技で簡便、迅速に評価を行う必要性が求められ、プロトコールの改良に着手する必要性があると判断した。細胞の抽出にVERITAS社製のEasySep Magnetを導入し、検体の性質を可能な限り失わずに試験管内で維持する新しい手法を検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科研費の申請後に予測していなかった学外施設への異動があり、客員研究員として研究遂行を行っている。しかしながら、研究に従事可能な時間は限られており、当初の予定通りに進行していない。現在の施設内で可能な研究や行程の改良を行いながら、定期的に客員研究員として弘前大学医学部附属病院に赴きながら研究を進める予定である
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今後の研究の推進方策 |
現時点での大きな課題は、細胞の恒常性を維持した状態での細胞の抽出、細胞の固定とKRB液の灌流、2-NBDLGを用いた細胞の蛍光標識、蛍光強度の観察の手順を効率よく進めるためのプロトコールを確立することであり、症例の蓄積は遅滞している。今後は定期的に弘前大学医学部附属病院に通いながら細胞の蛍光標識プロトコールを確立する予定であり、続いて症例の蓄積に注力する予定である。
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