研究課題/領域番号 |
23K14641
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
藤岡 優樹 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (20853229)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Fluctuate / 無治療寛解 / 免疫プロファイル / 機能欠失変異 / CML / TKI / TFR / Treg |
研究開始時の研究の概要 |
慢性骨髄性白血病はチロシンキナーゼ阻害薬が著効する疾患であるが、近年は薬剤中止後も一定割合で寛解を維持できることが示されている。興味深いことに無治療で寛解維持中に微少残存病変を検出しつつも、その後明らかな再発を認めずあたかも共存しているような症例が存在する。本研究ではそのような症例を詳細に解析することで悪性腫瘍患者の長期寛解維持の背景にある免疫学的な機構を解明する。本研究は、免疫学的な腫瘍制御によって臨床的な治癒をもたらし得ることを示そうとするものである。
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研究実績の概要 |
Fluctuate症例を含む慢性骨髄性白血病(CML)のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)中止後の検体収集を継続した。時系列での検体がそろっているものからフローサイトメトリーU(FCM)による免疫プロファイリング解析を継続した。また次世代シーケンサー(NGS)を用いたBCR::ABLの変異解析も行った。 FCMの解析では、T細胞、B細胞、NK細胞、単球由来抑制細胞(MDSC)およびそれらの細胞サブセット、さらに免疫強刺激分子の発現を確認した。過去の報告通りTKI中止直後(1ヶ月)の制御性T細胞(Treg)の変化がその後の予後に重要であることが確認できた。本解析で注目しているFluctuate症例については、検討している範囲で特異的な因子を見いだすことはできなかった。Fluctuateと定義されない症例でも免疫の影響を受けている場合(検査で検出できないレベルでFluctuateしているような場合)なども考えられ、症例個別に解析していく必要性が考えられた。機能欠失変異の存在によりFluctuateしている可能性も言われており、NGSによる変異解析も実施した。本解析は一定数以上の微小残存病変(MRD)が検出できている症例を選んで実施した。その結果、驚くべきことに初発例も含めて全ての症例で機能欠失変異を有していた。しかしながら、Fluctuateや晩期再発において、機能欠失変異の割合が一様に変化する様子は観察できなかった。 また、ZenoTOF(高分解能質量分析)を用いたプロテオーム解析も実施予定であったが、共通機器側のセットアップが間に合わず今年度は実施ができなかった。2024年度より順次運用開始していくとのことで、予備検討を行ったうえ検体解析も進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通りプロテオーム解析が今年度に実施できなかったため、遅れている。しかし、必要な免疫プロファイル解析は順調に進められているため、あとは他の解析結果との統合解析をどのように進められていけるかを検討する必要がある。統合解析が本研究の肝でもあるので、一つ一つのデータをしっかりと作成し、統合解析に利用可能な形でまとめていくようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施予定であったプロテオーム解析(メタボローム解析)を2024年度に実施する。 また、FCMとサイトカイン測定も継続する。そして、FCM、サイトカイン、プロテオームそれぞれの解析結果を統合させた統合解析を進め、Fluctuateに関連する因子の抽出を目指す。Fluctuateは個々の症例毎に臨床経過と解析結果とを突き合わせる必要があるので、症例毎に解析を進める方針で考えている。
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