研究課題/領域番号 |
23K14653
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中山 宏道 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80866773)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 食道扁平上皮癌 / 3次リンパ様組織 / 細胞線維芽細胞 / 濾胞樹状細胞 / scRNA-seq / 食道癌 / 腫瘍免疫微小環境 / TLS / シングルセル遺伝子発現解析 |
研究開始時の研究の概要 |
食道癌は集学的治療により治療成績は向上しているが、依然として予後不良な消化器癌の一つである。食道癌を含む固形癌内には腫瘍免疫微小環境(TIME)と呼ばれる各種免疫細胞から構成される微小環境が存在し、その中の高度な不均一性が治療抵抗性に関与している。近年、TIME内に3次リンパ様構造(TLS)と呼ばれるリンパ器官が目されており、TLSは様々な固形癌の予後良好因子であることが知られている。本研究では食道癌組織を用いたscRNA-seqを実行することでTLSを構成する細胞の詳細な機能解析を行い、TLSの成熟機序を解明し新規治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
腫瘍免疫微小環境(tumor immune microenvironment;TIME)には3次リンパ様組織(Tertiary Lymphoid Structure; TLS)と呼ばれる後天性に発生するリンパ器官が存在することがあり、TLSは様々な固形癌の予後良好因子であることが知られている。TIMEを改変し治療抵抗性を改善していると考えられているが、その成熟過程などは未だ詳細不明である。本研究ではTLSを構成する少数の細胞集団である細網線維芽細胞(fibroblasticreticular cell; FRC), 濾胞樹状細胞(follicular dendritic cell; fDC)に着目し、食道癌組織を用いたscRNA-seqを実行することでこれまで捉えることが困難であったFRC, fDCの詳細な機能解析を行い、TLSの成熟機序や機能的heterogeneityの理解の一助とし新規治療法の開発へとつなげていくことを目的としている。 当院における食道扁平上皮癌(ESCC)症例に対する術前精査目的の内視鏡生検、および外科手術からサンプルを採取し、当研究室で導入済みのDrop-seq技術を基盤としたChromium Single Cell Controller (10xGenomics社)を用いて、シングルセルRNAライブラリ作成を重ねた。これらのサンプルを用いたシングルセル解析により、腫瘍内に浸潤した免疫細胞および間質細胞の遺伝子発現解析を行った。TLSを構成する細胞種であるB cell、Tclee、Myeloid cell、Fibroblastを同定しクラスタリングを行った。また多重蛍光免疫染色によりTLSの有無で2群に分け、TLS(+)群では腫瘍免疫が亢進していることが示された。今後は各細胞のサブクラスターの詳細な解析を行い、FRCとfDCの同定、遺伝子発現解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食道扁平上皮癌検体のサンプルのライブラリ作成は順調に進んでおり、症例数も蓄積されている。シングルセル実験及びデータ解析手法に関しても習熟度が上がってきており,今後は更なる詳細な解析が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
食道癌の腫瘍微小環境におけるTLSの役割、それを構成する細胞種のサブクラスターを同定し、詳細な遺伝子発現解析を行うことでその機能を解明していく。
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