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がん特異的プロドラッグ化を目指した毒性ペプチドの立体的マスク化

研究課題

研究課題/領域番号 23K14664
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
研究機関岐阜医療科学大学

研究代表者

磯野 蒼  岐阜医療科学大学, 薬学部, 助教 (50880481)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードペプチド / プロドラック / 立体制御 / 両親媒性 / 溶血性 / がん微小環境 / プロドラッグ / 立体配座
研究開始時の研究の概要

近年、低分子薬および分子標的薬の利点を併せ持つペプチド医薬が注目されているが、生体内での安定性が低いという課題がある。また多くの抗がんペプチドはがん細胞への特異性が低い。本研究では、これら2点を一挙に解決するべく毒性ペプチドを利用したプロドラッグの開発を目指す。その戦略として、①がん微小環境のみで開裂するリンカーで環化し、②毒性の発現に必要な部位を立体的に保護して、毒性をマスク化する。本研究では毒性ペプチドの環化におけるリンカー配列の最適化を実施し、抗がん作用および選択性を評価する。

研究実績の概要

ペプチド医薬は低分子医薬品と高分子医薬品の両方の利点を併せ持つことが可能であるため、期待が大きい。しかしながら、ペプチド医薬全般の課題として①生体内での安定性が低いことが挙げられる。またこれまでに研究されてきた抗がんペプチドは、その毒性の作用点となる細胞膜の電荷が正常細胞と大きな差はなく、②腫瘍への選択性が低いという課題もあり、未だ臨床適用にいたっていない。本研究では上記2点の課題を同時に克服するべく、がん特異的環境下のみで毒性を回復するペプチドプロドラッグの開発に着手した。
毒性ペプチドであるα-ヘリックス型両親媒性ペプチドKLAとがん特異的酵素であるマトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)の認識配列を組み込んだハイブリッドペプチドをFmoc固相合成法にて構築し、続く分子内環化で環状ペプチドcycKLAの合成を達成した。
続いて酵素への応答性を調べた結果、MMP-2ではcycKLA は24時間経過してもほぼ切断されなかったが、MMP-9ではcycKLAは8時間でほぼ切断された開環体に変換され、ユニークなMMP応答性を示すことが明らかとなった。
またMMP-9高発現細胞HT1080及びMMP-9低発現細胞MCF-10A細胞へのcycKLAの細胞毒性を調べるとHT1080の方が有意に細胞生存率が低く、MMP-9依存的に毒性を示すことが明らかとなった。しかしながらMCF-10Aに対しても毒性が確認される点、血清中での安定性が低い点など問題点が判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では環状ペプチドはC末端とN末端を直接アミドで環化する予定であったが、合成困難であったため、クロルアセチル基とシステインのチオール基で環化したチオエーテル型の環状ペプチドcycKLAに計画を変更した。
また今回合成したcycKLAはMMP-9高発現細胞とMMP-9低発現細胞間での毒性の差が小さく、また血清中での安定性が低いことが確認された。そのため毒性ペプチドの選択から変更する必要が生じた。
以上のことから、「やや遅れている」と評価した。

今後の研究の推進方策

KLAペプチドはα-ヘリックス型両親媒性の毒性ペプチドの中では短いため合成しやすく、また毒性と構造の関係も単純であり考察しやすいため、モデルペプチドとして選択した。しかしKLAペプチド自体が毒性を示すのに100μM程度必要となり、今回合成したcycKLAも毒性を示すのに同程度の濃度を必要とした。MMP-9低発現細胞株でも毒性が認められたのは、高濃度のcycKLAを処理したことで非特異的な吸着などに由来する毒性が発現したためだと推測している。
以上の結果を踏まえ、今後は数μMのオーダーで効果を示す溶血性のペプチドを選択し、同様に合成、評価を実施する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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