研究課題/領域番号 |
23K14666
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
青木 秀梨 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 治療診断部, 医長 (50773496)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 放射線肺臓炎 / 肺癌 / 放射線治療 / 炎症性サイトカイン / HMGB1 / 間質性肺炎 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線肺臓炎は、放射線治療において最も重要な致死的有害事象であり、肺臓炎の早期予測法や明確な適応基準の確立が急務である。 本研究では、放射線肺臓炎のバイオマーカーとしてHMGB1(High Mobility Group Box1)等の炎症性サイトカインに注目し、炭素イオン線治療を受けた患者における放射線肺臓炎と炎症性サイトカインの関係を評価する。放射線肺臓炎の早期予測、予防法の確立につながる知見を得ることが目標である。
|
研究実績の概要 |
「研究実施計画(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」 にある研究の第一段階として、まずは過去の治療患者における臨床データを解析し、重粒子線治療における肺炎の頻度や、既存のリスク因子を整理する必要があった。当初の計画どおり、QST病院で原発性肺癌に対する炭素イオン線治療を受けた肺癌患者について、後ろ向き観察研究として、臨床転機、患者背景因子(臨床病期、年齢、喫煙歴、合併症等)、治療前血清マーカー(KL-6、CRP)等のデータを収集した。(N22-023)その過程で、既存のX線を用いたSBRTのデータとの比較を行う機会に恵まれ、論文1を執筆した。 近年の早期肺癌に対する重粒子線治療は安全性が高く、当初見込んだより肺炎発症の頻度は低かったため、今回の研究対象を絞り込む必要があることが分かった。一方、中枢型肺癌、IP合併肺癌での重症肺炎の頻度が高く、これは臨床的に肺炎ハイリスク因子として知られる知見とも一致した。それぞれの臨床成績と、有害事象に関するリスク因子も詳細まで検討し、各々論文2,3で報告した。特にIP症例は、肺癌のサイズや位置等と独立したリスク因子として重要であり、肺線量によらず想定外の炎症拡大、肺炎重症化もしばしば経験する。まさに予測因子の開発が急務となっていることから、今回の研究の有用性も高いと考えた。 論文1:Aoki S, et al. Cancers (Basel). 2023 Jul 15;15(14):3633. 論文2:Aoki S, et al. Cancers (Basel). 2023 Jul 15;15(14):3633. 論文3:Aoki S, et al. Cancers (Basel). 2024 Feb 25;16(5):933.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、「研究実績の概要」に記載したように、肺癌に対する重粒子線治療の臨床成績の解析を行い、原著論文3本がすでにAcceptされた。一方、研究の主となる実験について、必要品の購入、施設内倫理申請等の環境整備が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
「研究実施計画(4) 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」 にある研究の第二段階として、 「臨床データから得られた放射線肺臓炎高リスク症例を対象として、QST病院メディカルデータバンクで保管されている対象症例の炭素イオン線治療前の凍結血清を用いて、HMGB1等のサイトカインを測定する」予定である。ただし、研究計画時は同意を得た治療患者全員を対象に研究用採血が行われてきたが、その後肺癌が対象外となり、研究計画・倫理申請の変更が必要となったため、調査や準備に時間を要している。 準備が整い次第、研究を進めることとなるが、高リスク症例と言っても肺炎の頻度は低く抑えられており、限られた研究資源を考慮すると症例の選択が難しい。具体的な案としては、・IP合併症例に対象を限定する、・肺炎発症例を抽出して対象とし、非発症例(コントロール)を加えて比較解析する、等を検討している。
|