研究課題/領域番号 |
23K14687
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
祖父江 顕 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任助教 (80823343)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / ミクログリア / 神経炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はアルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)の中核病理の1つであるアミロイドβのクリアランスや神経炎症の調節に寄与し、AD病態に関わるミクログリアというグリア細胞の一種に着目して、神経細胞を取り巻く環境からAD病因・病態関連シグナルを明らかにしていくことを目的としている。軽度・進行期AD病理脳およびアミロイドあるいはタウ病理を呈する認知症モデルマウスから単離したミクログリアの遺伝子発現変化を比較し、疾患ミクログリアにおける炎症関連遺伝子プロファイルの作製および新規治療ターゲットを絞り込み、細胞レベル・動物レベルで炎症発現変化とその制御を解析していく研究である。
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研究実績の概要 |
認知症の主要な原因疾患であるアルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)の中核となる病理は、アミロイドβ(Aβ)・タウ蛋白の異常蓄積であり、これらは神経変性につながる主要因子である。本疾患における現行の治療薬はこれらの因子の制御ではなく対症療法の域に留まっている。従って、本疾患の病因と病態関連シグナルを明らかにし、病態に即した革新的治療法を開拓するための基盤整備が必要である。AD脳の老人斑に集簇するグリア細胞の一種であるミクログリアは、Aβクリアランスや神経炎症に寄与し、ADの病態に関与することが注目されている。このような背景から、本研究ではi)AD病理脳(軽度・中等度)とモデルマウス由来のミクログリアを用いた病態進行に伴う遺伝子比較解析およびii)AD病理脳、モデルマウスのミクログリアにおける共通遺伝子発現プロファイルにより同定されたカンナビノイド受容体2型(CB2)の機能解析を行う。
今年度は下記について実施した。 i)においては軽度AD病理脳と高度AD病理脳との遺伝子比較解析を行った結果、病態進行に伴いミクログリア、アストロサイトの特異的なマーカーが発現上昇しており、軽度AD病理脳においてはオリゴデンドロサイト特異的なマーカーが発現低下していることが明らかにした。 ii)においてはタウ病理を呈するrTg4510マウスから単離したミクログリアにおいてCB2のmRNAが発現上昇することをqPCRにより明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CB2刺激による認知機能およびタウ病理への影響を解析するため、rTg4510マウスの作製を進めていたが、交配が計画通りいかず、行動解析および神経病理学的解析において統計的解析ができる匹数まで到達できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
i) AD病理脳とADマウス由来のミクログリアを用いた病態進行に伴う遺伝子比較解析については、AD病理脳とADマウスにて共通して発現変動する遺伝子を抽出し、その遺伝子に関連する試薬(作動剤・阻害剤)をグリア細胞やADマウスへ投与し、神経炎症や認知機能への影響を解析する予定である。 ii) AD病理脳、モデルマウスのミクログリアにおける共通遺伝子発現プロファイルにより同定されたCB2の機能解析についてはrTg4510マウスにCB2アゴニストであるJWH133を投与し、認知機能、神経炎症やタウ病理に与える影響を解析する予定である。
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