研究課題/領域番号 |
23K14700
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
小暮 洋子 兵庫医科大学, 薬学部, 講師 (60548684)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 内臓痛 / TRP受容体 / 大腸炎 / 活性酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease: IBD)は腹痛が慢性的に持続する難治性疾患で、炎症部位では、大量の活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)が産生される。痛み受容体として注目されているTransient receptor potential(TRP)受容体の一部は、ROSによって活性化されることが明らかとなっている。本研究では、クローン病および潰瘍性大腸炎モデルラットにおけるTRPC5、TRPV3と内臓痛や認知機能との関わりを調べる。さらに、ROSやTRP受容体をターゲットとするIBDに伴う内臓痛の新規治療薬の探索を行う。
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研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease: IBD)は腹痛が慢性的に持続する難治性疾患であり、長期的な痛みは認知機能にも影響を及ぼすことが明らかとなっている。痛み受容体として知られるTransient receptor potential (TRP)受容体は、活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)によっても活性化され、内臓痛と関わることが示唆されている。本研究では、TRPC5およびTRPV3に着目し、IBDモデルラットにおける内臓痛や認知機能との関わりを調べる。 2023年度は、潰瘍性大腸炎モデルおよびクローン病モデルラットを作製し、認知機能としてY字迷路により空間作業記憶を測定した。潰瘍性大腸炎モデルでは活動量や記憶力が有意に低下し、大腸炎が認知機能に影響を及ぼすことを確認できた。クローン病モデルラットでは、活動量や記憶力に変化は認められなかった。次に、潰瘍性大腸炎モデルラットにおける認知機能の低下にROS感受性TRP受容体が関与しているかを調べるため、9種類(TRPA1、V1/3/4、C1/4/5、M2/7)のうち、特に脳に発現が多いことが知られているTRPC1/4/5について、海馬でのmRNA発現量の変化を検討した。いずれのモデルにおいても、発現量の変化は認められなかったため、認知機能の変化は海馬でのTRPC1/4/5発現量の変化によるものではないことが明らかとなった。 また、TRPC5と内臓痛との関係について、潰瘍性大腸炎モデルラットにTRPC5阻害剤を単回投与して鎮痛効果を検討した。有意ではないが内臓痛を抑制する傾向が認められたため、今後、阻害剤の投与量や投与回数を増加させて再検討することによりTRPC5と内臓痛の関係を示唆できるような結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各IBDモデルラットの認知機能の変化を測定し、潰瘍性大腸炎モデルでは記憶力が低下すること、クローン病では影響がないということが明らかとなった。また、認知機能に関わるROS感受性TRP受容体として、現在TRPC1/4/5の3分子の影響を調査することができた。内臓痛とROS感受性TRP受容体との関係についても、有意な差は得られなかったが、投与量等を変更して再検討することで今後の成果が期待できる結果となったため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
認知機能については、引き続きY字迷路を行いTRPV3およびTRPC5阻害剤の効果を検討する。合わせて、不安行動や活動量も測定し、それらに対する影響を観察する。PCR実験においては、TRPC1/4/5のみ行ったため、残りのROS感受性TRP受容体(TRPA1、V1/3/4、M2/7)についても検討していく。さらに、内臓痛の測定において、TRPC5阻害剤の投与量を変更して効果を再検討する。iNOS発現量に対する効果の観察も行う。
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