研究課題/領域番号 |
23K14703
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
植田 尭子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 室長 (80850693)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 自閉症スペクトラム / autism spectrum disorder / 臓器連関 / CHD8 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症 (Autism spectrum disorder, ASD) の病態形成に寄与する、末梢由来因子の同定とそのメカニズムの解明を目指す。ASDモデルマウスの脳において、血中成分の変化を受容する受容体を、脳血管内皮細胞の遺伝子発現解析により探索し、そのリガンドの変化を血中および末梢臓器で解析する。同定した受容体およびリガンドについて、ASDモデルマウスで介入実験を行うことにより、ASD症状との因果関係を検証する。
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研究実績の概要 |
ASDを誘導する末梢由来因子を同定するため、ASDマウスの脳血管内皮細胞におけるシグナル伝達関連遺伝子の発現解析を行い、末梢由来因子の変化を受容する候補受容体を抽出し、ASDマウスにおいて候補受容体に対して介入を行い、ASD様行動が改善されるか検討することで責任受容体を同定した。同定した受容体に結合する血中の液性因子の、ASDマウス血中での変化を解析したところ、一部液性因子についてASDマウスのでの上昇がみられた。変化がみられた液性因子の由来臓器を同定し、その臓器に対して該当液性因子の発現を抑制するアデノ随伴ウィルスを導入したところ、ASD様行動が改善した。さらに、候補因子を産生する細胞を免疫組織化学染色により同定し、該当細胞の培養系を用いて、ASDにおいて当該因子が発現変動するメカニズムを追求した。その結果、ASD関連因子の機能不全による遺伝子発現制御の脱抑制が関与する可能性を見出した。また、該当因子が脳機能に作用する機序として、脳血管内皮細胞に着目して解析を行ったところ、当該因子が脳血管内皮細胞において透過性に関与する遺伝子の発現を変動されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ASDマウスにおいてASD様行動を誘発する末梢由来因子を同定するとともに、ASD関連遺伝子の変異によりその発現が変動するメカニズムの一旦を解明することができた。また、当該因子が脳機能へ作用する機序について、血管内皮細胞の機能変化を介した経路が存在する可能性を示唆する結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
当該因子のASD治療の標的としての有用性を検証するため、ヒトのASD患者または霊長類のASDモデルにおける変動を解析する。
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