研究課題/領域番号 |
23K14728
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
橋本 博子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60846062)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | オステオサルコペニア / 慢性腎臓病 / 骨粗鬆症 / 臓器連関 / 細胞間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
骨粗鬆症とサルコペニア(加齢や疾患による骨格筋量・筋力の低下)両者を合併した病態オステオサルコペニアは、単一の病態よりも転倒、ADLの低下、死亡リスクを増加させることから、高齢化社会が進む中で注目を集めている。高齢者の3人に1人が罹患する慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)は心血管病、サルコペニアなど全身臓器の機能低下に波及しオステオサルコペニアを招く代表的疾患であるが、病態理解・治療開発は不十分である。本研究では、疾患モデル動物とCKD・透析患者コホートの樹立と解析を通じてCKDによるオステオサルコペニアの分子病態解明と新たなバイオマーカー創出を目指す。
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研究実績の概要 |
骨粗鬆症とサルコペニア両者を合併したオステオサルコペニアは、骨粗鬆症またはサルコペニア単一病態を罹患した場合と比較して転倒、骨折、ADLの低下、死亡のリスクを増大させることが明らかになり、高齢化社会が進展する中注目を集めている。骨粗鬆症、サルコペニアは慢性腎臓病患者の重大な合併症であるが、透析による腎代替療法では治療ができず、治療薬が未開発であるため、治療法開発が喫緊の課題である。 代表者はこれまで、291 名の血液透析患者で後方視的コホート研究を行い、血液透析患者に使用される既存の薬剤の中から、サルコペニアの進行リスクに関わる薬剤およびオステオサルコペニアの進行リスクに関わる薬剤をそれぞれ同定した(Hashimoto H. J Ren Nutr 2023)。 また、同コホートをプールコホートとした新たな後方視的コホート研究を行い、その結果、筋量増加効果を示す薬剤を新たに同定した。さらに、慢性腎臓病患者に合併する腎性貧血の治療薬であるエリスロポエチン製剤の必要量が多い患者ではサルコペニアの進行リスクが高まることも明らかにし、透析患者の筋量低下のメカニズムの一端を示唆する成果を得られた(Hashimoto H. JCMS Commun 2024)。 このように代表者はサルコペニアおよびオステオサルコペニアに影響する既存の薬剤を新たに見出しており、当該研究によって、慢性腎臓病患者のサルコペニアおよびオステオサルコペニアのバイオマーカーや分子メカニズムと紐づけられる解析をさらに進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2編の臨床研究(Hashimoto H. J Ren Nutr 2023, Hashimoto H. JCMS Commun 2024)において、サルコペニアおよびオステオサルコペニアの進行リスクに関連する薬剤、またサルコペニアの進行抑制効果が示唆される薬剤を新たに明らかにすることができた。これらの知見にもとづいて、治療法開発のための研究に着手することが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
すでに解析を進めてきた複数のコホート研究に加えて、前方視的コホート研究も樹立し、検体採取、臨床情報収集、dual-energy X-ray absorptiometry(DXA)法による骨密度と骨格筋量の測定、運動機能の評価を追跡開始している。オステオサルコペニアの進展に関わる高感度/特異度の生物学的指標の同定を目指す。また、慢性腎臓病・サルコペニア・骨粗鬆症の疾患モデル動物を樹立、解析に着手している。網羅的オミクス解析で絞り込んだ分子群について、培養細胞を用いて機能解析を進める。候補となる機能分子群の阻害剤や、これまで明らかにしたオステオサルコペニアの進行リスク低下に関連する既存薬の中から、オステオサルコペニアモデル動物の治療効果を発揮する化合物、薬剤を明らかにする。
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