研究課題/領域番号 |
23K14758
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久米 広大 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (20592314)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / リピート病 / iPS細胞由来運動神経 / iPS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では我々が同定した新規原因遺伝子Xのリピート伸長がどのような分子機序でALSを発症させるのかを明らかにする。またリピート周囲のDNAメチル化が発症抑制に働く機序を明らかにし、DNAメチル化を用いた治療法の開発への礎とする。同定した変異は顕性遺伝を示し、家系内の非発症者のリピート周囲DNAメチル化が亢進していることから、毒性獲得型変異の可能性が高いと考えるが、RNA fociとリピート関連非AUG翻訳タンパクのどちらが重要な因子であるかを決定するのは本疾患の治療戦略を考える上で重要である。iPS細胞由来の運動神経を用いた解析により、リピート長およびDNAメチル化と病態の関連を明らかにする。
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研究実績の概要 |
我々が同定した原因遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症患者(ALS)由来iPS細胞から作製した運動神経を用いた解析を行った。RNA-FISHにより、ALS患者由来の運動神経ではRNA fociの形成を認めた。また定量PCRを行い、原因遺伝子の遺伝子発現量は健常人由来運動神経と比較してALS患者で有意に増加を認めた。さらに、TDP-43タンパク質の免疫染色を行い、ALS患者由来運動神経ではTDP-43の細胞質内蓄積を認めた。これらのことから、この原因遺伝子変異は毒性機能獲得型としてALSの原因となっていると思われた。また、我々が作製したiPS細胞モデルはALSの病理を再現し、ALSの病態解明や創薬スクリーニングとして有用であると考える。 次に、ALS非発症者由来運動神経のリピート周囲DNAメチル化およびDNase I Chromatin Accessibilityの解析を行なった。バイサルファイトシーケンスにより非発症者ではリピート周囲DNAのメチル化が亢進していることが明らかとなった。また、この結果に一致して、DNase I Chromatin Accessibilityは低下していた。このことから、リピート周囲のDNAメチル化は疾患発症抑制的に働くことが推測された。 以上の結果から我々が同定した新規原因遺伝子変異は毒性獲得型変異であることが考えられた。治療戦略としては遺伝子発現をアンチセンスオリゴDNAやリピート周囲のDNAメチル化の誘導によって抑制することが有望である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した解析を終えているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は治療法の開発に向けた研究を行う予定である。概要欄でも述べたように、アンチセンスオリゴDNAやリピート周囲のDNAメチル化の誘導により遺伝子発現抑制が本原因遺伝子変異を有するALSの治療法となりうる。iPS細胞由来運動神経に対して原因遺伝子の発現抑制を試み、RNA foci、TDP-43の蓄積、細胞死が改善するか解析する予定である。
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