研究課題/領域番号 |
23K14759
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中原 圭一 熊本大学, 病院, 講師 (60648591)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 野生型ATTRアミロイドーシス / 末梢神経障害 / 小径線維ニューロパチー / Sudoscan / 表皮内神経線維密度 / ニューロフィラメント軽鎖 / プロテオーム解析 / バイオマーカー / アミロイドーシス / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
【令和5-6年度】本研究は令和5年4月1日以降に熊本大学病院に受診した野生型ATTRアミロイドーシス患者を調査の対象とした前向き研究として行い、匿名バンク化された本症血漿検体の使用は後ろ向き研究として実施する。目標症例数は野生型ATTRアミロイドーシス患者100名程度である(本センターでは、昨年約300例の野生型ATTRアミロイドーシス症例の診断サポートを提供している)。必要に応じ症例を追加する予定である。 【令和7年度】エントリー症例の臨床評価は開始から2年間で完了する。3年目では登録症例の臨床情報の解析、血漿サンプルのバイオマーカー値との関連性を検証する。得られた結果は国際誌に論文発表する。
|
研究実績の概要 |
加齢とともに高齢者に生じる野生型トランスサイレチン(ATTR)アミロイドーシスは心不全や手根管症候群などの原因として重要な疾患であり、5年生存率は35.7%と予後不良である。しかし、2019年に本症の生命予後を改善する疾患修飾療法が適応となり、さらに核酸医薬の治験も現在進行中であり、治療法が劇的に進歩している。一方で、これらの薬剤の進行期の効果は乏しいため、本症をいかに早期診断するかが大切である。 大規模な国際的調査では、本症患者を診察したところ28%で感覚性ニューロパチーが存在することが報告されているが、生理機能検査などで裏付けられた研究はこれまでない。また、下肢末端のしびれ感を訴える本症患者は多く、当教室で行った表皮内神経線維密度は健常者に比べ、有意に低下しており、小径線維ニューロパチーの合併が考えられた。 日常診療の中で高齢者がしびれ感を訴えることはよく経験する。実際に高齢者では小径線維ニューロパチーの頻度が高いことが報告されている。そのため、しびれ感を訴える高齢者の中に、本症が潜んでいる可能性があると考えられる。そこで本研究では、①野生型ATTRアミロイドーシス患者の小径線維ニューロパチーの頻度および特徴の解明、②本症のスクリーニングおよび早期診断に有用なバイオマーカー探索を目的としている。 前年度までに7例の野生型ATTRアミロイドーシス患者を登録した。2例で遠位筋に軽度の筋力低下、5例で温痛覚低下、6例でdysesthesiaを認めた。神経伝導検査は6例に施行し、3例で腓腹神経の感覚神経活動電位が低下していた。Sudoscanによる解析では7例中4例で低下しており、そのうち2例で著明な低下を示した。併せて、血清ニューロフィラメント軽鎖の測定、プロテオーム解析を行うべく血清サンプルの収集も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに7例の野生型ATTRアミロイドーシス患者に対し、臨床症候の評価、末梢神経伝導検査、Sudoscanを行い、血清ニューロフィラメント軽鎖の測定、プロテオーム解析を行うべく血清サンプルの収集も行った。しかし、症例の登録数がまだ少なく遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はさらに症例の登録数を増やし、小径線維ニューロパチーの頻度を確認するとともに、さらに血清サンプルを収集する。また、登録症例の臨床情報の解析や血清サンプルのバイオマーカー値との関連性の検証を行う。
|