研究課題/領域番号 |
23K14762
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
王子 悠 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60777845)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | パーキンソン病 / リソソーム病 / プロサポシン / ゴルジ装置 / GM1ガングリオシド / LAMP2A / リソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病(PD)においてゴーシェ病を含むリソソーム病の病態メカニズムが関与することが近年注目されている。ゴーシェ病以外にも多くのリソソーム病の原因遺伝子の変異もまたPDに関与するとされている。先行研究では、リソソームで機能するスフィンゴ糖脂質活性化蛋白であるサポシンをコードする遺伝子PSAPを新規家族性PD原因遺伝子として同定した。PSAPは孤発性PDの遺伝的リスクでもありPSAP異常を解析することは孤発性PDの病態解明の鍵となる。本研究では、PSAP変異によるゴルジ装置の異常に着目し、ゴルジ装置の異常が如何にPD病態に関与するか探索する。iPS細胞やマウスモデルを用いて解析を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究では、パーキンソン病(PD)の病態解明のために、「家族性PDの原因遺伝子であるPSAP変異によるゴルジ装置の機能的・形態学的異常」、「ゴルジ装置の異常による種々のリソソーム蛋白の糖鎖修飾・蛋白輸送の変化」、「ゴルジ装置の異常を改善させる化合物の同定」を明らかにすることを目的としている。ゴルジ装置の形態異常であるゴルジ断片化を起こすブレフェルディンa(BFAa)を用いてSHSY5Y細胞を処理し、ゴルジ異常と脂質の変化との関連を検証する実験を行い、ゴルジ断片化を起こすBFA処理24時間後の細胞でGM1ガングリオシドの減少を示唆する実験結果を得ている。GM1ガングリオシドを含むガングリオシドはゴルジ装置で合成されるため、ゴルジ機能障害によりガングリオシドの合成が停滞し減少につながったと考えられる。GM1ガングリオシドはPD病態に関わる脂質のひとつであり、今後健常者由来iPS細胞ドパミン神経でも同様にBFA処理を行い、GM1ガングリオシドの減少の確認およびPDに関連する表現型の有無を探索する計画とする。PSAP変異によりゴルジ異常が起こるメカニズムについては引き続き解析を継続する。リソソーム蛋白の変化についてはLAMP2Aに注目しており、PSAP変異iPS細胞由来ドパミン神経ではゴルジ異常のほかLAMP2Aのタンパク量の減少があり、LAMP2AのmRNAも減少している。LAMP2AのmRNA低下に関わるmicroRNAの報告があり、現在ゴルジ異常とLAMP2Aの関連について解析を継続している。SHSY5Y細胞をBFAaで処理した細胞系の予備実験では、LAMP2Aの減タンパク質レベルの減少があり、健常者由来iPS細胞ドパミン神経でも確認を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゴルジ装置の形態的異常・機能異常と関連する脂質やタンパク質の変化を確認できつつあり順調に進展していると考える。健常者由来iPS細胞でゴルジ異常を起こす処理を行い、同様の表現型が得られるかを早急に解析する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
PSAP変異によりゴルジ異常が起こるメカニズムを解析する。ゴルジに関連するタンパク質の変化挙動を解析する。SHSY5Y細胞をBFAaで処理しゴルジ形態異常を起こすことでGM1ガングリオシドの減少とLAMP2Aの減少が起こることについて確証を得て、LAMP2Aの減少に関わるmicroRNAの変化を解析する。ほかのリソソーム蛋白であるグルコセレブロシダーゼ(GCase)やGCaseのリソソーム輸送に関与するLIMP-2の変化も解析する。健常者由来iPS細胞ドパミン神経にゴルジ異常を起こし、GM1ガングリオシドの減少やLAMP2Aの減少が起こるかを解析で検証する。変化がみられた場合には、αシヌクレインの局在や凝集の傾向があるかを解析し、LAMP2Aが関与するオートファジー・リソソーム系の異常の有無も検証する。ゴルジ異常と関連するGM1ガングリオシド、LAMP2Aの変化などを明らかにし、表現型を改善する薬剤のスクリーニングにも着手をしていきたい。
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